2030年に向け、従来予測よりも電動車の普及スピードが上がるとみる。その理由は何か。

日産が6月に発売した軽EV「サクラ」。受注は良好だという(編集部撮影)
2025年に20%、2030年に39%、2035年には59%――。
ボストン コンサルティング グループ(BCG)が6月9日に電動車の市場予測レポートを発表した。乗用車など(大型商用車は除く)の世界の新車販売に占める電気自動車(バッテリー式EV=BEV、ただし以降はEV)の割合が冒頭のようになると予測している。ちなみに2021年4月のレポートでは、それぞれ11%、28%、45%と予測していた。
さらに主要市場の2030年の予測では、欧州が60%(昨年4月予測は43%、以下同)、中国が52%(40%)、アメリカが47%(31%)。いずれも昨年の予測と比べてEVの普及加速を見込んでいる。BCGの滝澤琢マネージング・ディレクター&パートナーに予測修正の背景を聞いた。
規制強化で普及が加速
――昨年の予測からEVの普及が早まると修正した理由を教えてください。
昨年までの予測ではEVの普及に向けた変曲点が2030年くらいに来ると見ていた。それがさらに早まると見た。理由は大きく3つ。1つ目が、欧米での規制圧力の強化。2つ目が、総所有コストの低下。3つ目が、メーカーと消費者の動向だ。
まず規制強化だが、欧州が2030年までにEU域内で販売される新車の二酸化炭素(CO2)排出量を2021年比で55%削減する政策を打ち出した。欧州は2035年には法規として全部EV化する方針だ。それらから逆算すると変曲点は2030年より前に来る。
アメリカでも排ガス規制が大幅に強化されている。カリフォルニア州を含む10州以上が新車販売の中でのゼロエミッション車(ZEV=CO2を含む排ガスを出さない車)の割合を決定した。
こうした規制圧力がいちばん強い。そもそも(エンジンを積んだ車を)売ってはダメと言われると対応するしかない。
――欧州の規制はまだ正式決定ではありません。アメリカもバイデン大統領でなくなると方針が見直されるとの声が自動車業界には根強くあります。
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