「両社で組むことが最善の選択」として電池の合弁会社を立ち上げたが、方針のすれ違いが見え隠れする。
よそよそしい。昨年、合弁による車載電池の新会社を始動させたトヨタ自動車とパナソニックが、だ。
10月18日、トヨタはアメリカに電池工場を初めて建設すると発表した。9月には、2030年までに電池関連で設備に1兆円、開発に5000億円を投じる計画を発表しており、その一環でアメリカにおける車載電池生産に約3800億円を振り向ける。
新工場の運営を担う新会社にはトヨタが90%、豊田通商が10%出資し、トヨタグループが単独で運営する形を取る。2025年からの稼働を目指す(建設場所や生産能力は非公表)。
この計画には1つの疑問が残る。車載電池の開発・製造を行うトヨタとパナソニックの合弁企業、プライム プラネット エナジー&ソリューションズ(PPES)の名前がないからだ。同社は、トヨタが51%、パナソニックが49%を出資している。
当時、パナソニックはEV専業メーカーのテスラ向け事業での巨額投資を回収できておらず、単独で大規模な設備投資を続けることは難しいと判断。一方、トヨタは電動車の需要拡大を見据え、実質的な内製化で競争力を高める狙いがあり、PPESの設立に至った。
合弁会社にはパナソニックが持っていた国内3工場と中国・大連市の工場が移管されたが、アメリカに拠点はない。アメリカでの電池供給でも一定の役割を担うはずだったPPESが関与していないことについて、トヨタ幹部は「パナソニックにはいろんな企業と組んでいる事情もあり、51対49の資本関係で期待する投資の規模感やスピード感に賛同してもらえなかった」と話す。
「アメリカはトヨタの戦略」
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら