6年ぶりの刷新、新型「MIRAI」が見せた技術進化 トヨタが描く「燃料電池車」戦略の成否①

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究極のエコカーと言われる燃料電池車。この技術にいち早く注目し、量産車を発売したトヨタ自動車は、今後の青写真をどう描いているのか。

新型「ミライ」は、航続距離を初代より3割伸ばした。国内のほか、北米やヨーロッパでも販売する(記者撮影)

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「新型ミライは本格的な水素普及への出発点としての使命を担う車だ」

トヨタ自動車は2020年12月、燃料電池車(FCV)の新型「MIRAI(ミライ)」を発表し、日本での販売を開始した。初代から6年ぶりの刷新で、技術部門トップの前田昌彦執行役員は2代目ミライを前に語気を強めた。

電動車と言えば真っ先にEV(電気自動車)が連想されるが、EVもFCVも電気で駆動モーターを動かして走行する点は同じだ。EVは電池にためた電気を用いるのに対し、FCVは燃料として積んだ水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を生み出す。走行時には水しか排出せず、乗用車なら3分ほどの水素充填で長距離を走行できるため、「究極のエコカー」とも言われる。

トヨタはいち早くこの技術に注目し、1992年に開発をスタート。2014年には世界初となる量産型FCVとして初代ミライを発売した。ただ、累計販売台数は全世界で約1万1000台、国内に至っては約3700台にとどまる。

前田執行役員は、「将来に向けた兆しはつかめたと思うが、水素社会の実現を加速させるには力が及ばなかった」と振り返る。電気を生み出すFC(燃料電池)システムの量産がネックとなって車両価格が700万円以上と高額なうえ、肝心の水素ステーションの数が少なく、普及が阻まれたのだ。

1回の水素充填で850キロメートル走行

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