ホンダが打ち出した大胆な電動化戦略でサプライヤーも変革を迫られる。市場縮小必至のエンジン系部品を手がける、武蔵精密工業社長を直撃した。
――50年以上前からホンダにエンジン系部品を供給してきました。そのホンダは、2040年までの「脱エンジン」を表明しています。
僕はポジティブに捉えている。さすが三部さん(ホンダの三部敏宏社長)、思い切ったね、と。あんな発表、ホンダにしかできなかったのではないかと思う。
ただ、多くのサプライヤーには戸惑いがあるのでは。ホンダ系サプライヤーの企業規模は、トヨタ自動車系の10分の1位と小さいところが多い。だからこれからは、ホンダ以外の自動車メーカーの開拓も含めて、自分たちで生きる道を考えていかないといけない。
電動化時代の「インテル」狙う
――武蔵精密工業にとっての「生きる道」とは何でしょう。
電動化の時代を迎えれば、エンジンやトランスミッション(変速機)などの部品の数が減ることは避けられない。それならば、当社は「電動化の時代の主役となるようなキーデバイスのサプライヤーになろう」と。5年か、それ以上前からいろいろと議論をしてきた。
そこでわれわれが作れるものは何かと考えたとき、EVで欠かせない(モーターから出力したエネルギーを調整する)ギアボックスだ、という結論に至った。
――なぜ、ギアボックスに商機があると?
当社はこれまで、トランスミッション用のギアを何億枚と作ってきたが、その過程で培ってきた、人材を含めた技術、生産設備などのすべてのインフラを生かすことができるからだ。
しかも、(ギア単体ではなく)ギアボックスとして提供する。日本電産が(主力のモーターとインバーター、減速機を一体にした)eアクスルに力をいれているように、今はキーデバイスを集め、組み付けて提供するのが時代の潮流だからだ。
アメリカのインテルはCPUでパソコンになくてはならない存在になったが、大げさな表現をすればわれわれも(電動車における)インテルのようなポジションを狙っていきたい。
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