中国製「380万円EVトラック」が日本に参入の衝撃 日本の車メーカーは「やられた」と口にする

✎ 1〜 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 17 ✎ 最新
拡大
縮小

SBSホールディングスが、中国製のEVトラックを採用した理由とは。

東風小康汽車が生産するEVトラック。SBSホールディングスは2022年から本格導入する予定だ(写真:記者撮影)

特集「電動化への大号砲」の他の記事を読む

日本の宅配市場に、中国製EVトラック参入の波が押し寄せている。

3PL(物流の一括受託)大手のSBSホールディングスは10月、京都のEVファブレスメーカーのフォロフライが開発するEVトラックを、協力会社も含めて1万台導入する方針を発表した。このうち一部を、中国の国有自動車大手、東風汽車集団傘下の東風小康汽車が生産する。東風小康汽車製のEVトラックの販売価格は、1台当たり約380万円と超低価格だ。

今回採用するEVトラックは2021年内に走行試験を終え、メンテナンスや整備体制を整えた後に、2022年から順次導入を開始する。

SBSHDは倉庫内業務の代行を主力事業としているが、近年は宅配サービスに力を入れ、生活協同組合やアマゾンから商品配達を受託している。

同社は今回導入するEVトラックの1万台のうち、東風小康汽車製を含む約2000台を、グループ会社で消費者に直接商品を届けるラストワンマイル向けに使用する予定だ。充電1回当たりの航続距離は300キロメートルで、夜間に6~8時間かけて充電しておけば、日中は追加の充電なしに配達できる。

「本当は日本製を導入したかった」

なぜSBSHDは中国メーカーが生産するEVトラックを導入することになったのか。同社の鎌田正彦社長は、「本当は日系メーカーが生産するEVトラックを入れたかった」と打ち明ける。

同社は5年ほど前からEVトラックの導入の検討を始めた。ところが、日系メーカーの場合、車両価格が1台1000万円以上と高額で、なかなか採用に踏み切れなかった。また海外メーカーの中には低価格EVトラックを販売しているメーカーもあるが、品質面で懸念が残った。しかし、この両方を叶えることができるメーカーが中国にあった。

次ページ日系大手メーカーはEVトラックに慎重
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
電動化への大号砲
ハイブリッド技術に強い日本勢の難しい立ち位置
EV普及早まれば乗り遅れのリスクも
6年ぶりの刷新、新型「MIRAI」が見せた技術進化
トヨタが描く「燃料電池車」戦略の成否①
水素インフラ普及を促す「トヨタの秘策」
トヨタが描く「燃料電池車」戦略の成否②
カギ握る大型トラック、FCV化の最前線
トヨタが描く「燃料電池車」戦略の成否③
軽自動車の電動化、立ちはだかる「2つの難題」
脱ガソリン車に揺れる日本の「軽」①
EV時代が問う軽自動車の「存在意義」
脱ガソリン車に揺れる日本の「軽」②
日本初、「工場がない」EVメーカー誕生の衝撃度
佐川急便が配送用軽バンを7200台総取っ替えへ
出光、あえて「低スペックのEV」で見据える勝算
自動車メーカーの主戦場は眼中にない
トラックも「脱炭素」、自動車業界の多難
商用車の電動車比率はわずか数%
トヨタの株価上昇、テスラの頭打ちを読み解く
電動化の競争を占う“重要指標"
「電動化、今から開発では間に合わない」
ホンダ系サプライヤー、ジーテクト社長に聞く
トヨタ、過熱する「電池投資合戦」に慎重な理由
日産系や海外勢は次々と電池工場を新設へ
テスラ「利益1000億円」が示す実力と次のハードル
四半期の売上高、利益が過去最高を記録
トヨタとパナの間に「すき間風」が吹いている
アメリカの電池工場投資ですれ違い
ヤマ発、バイクの100%EV化を「目指さない」理由
2050年の販売に占める電動化比率は9割目標
中国製「380万円EVトラック」が日本に参入の衝撃
日本の車メーカーは「やられた」と口にする
物流の革命児が見込んだ「中国製のEV」の全貌
日本に1台しかない車両を写真で解説
ソニー、EV参戦の先に透ける「裏方で稼ぐ未来」
スマホ事業と「同じ立ち位置」を狙う可能性
ソニーのEV、「プレステ」「aibo」との意外な共通点
開発責任者「テスラは参考にするが模倣しない」
ソニーEV参戦、迎え撃つ「トヨタやホンダの本音」
歓迎の意を示しつつも、思惑が激しく交錯する
ソニーがホンダを「EVの相棒」に選んだ深い狙い
2社での新車開発・販売がゴールじゃない
EV時代に「エンジン部品会社」が仕掛ける勝負
武蔵精密工業社長「将来部品メーカーの括りなくなる」
日産アリアとトヨタbZ4X、正反対のEV販売戦略
電池劣化、中古車の価値低下とどう向き合うか
三菱自、13年ぶりの軽EVで狙うアイミーブの雪辱
販売責任者に聞く普及に必要な「傾向と対策」
EV化への分水嶺が10年以内にやってくる理由
BCGの市場予測、普及加速の理由を担当者に聞く
日系メーカー買収で日産が踏み出す電池新戦略
EVシフトや米中摩擦の荒波は加速するばかり
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内