日産が外部調達を基本としてきた電気自動車(EV)向け電池の調達方針を見直す。背景にはEV普及の加速や経済安保上の課題があった。
電気自動車(EV)向け車載電池について、外部調達を基本方針としていた日産自動車が、戦略の転換を図ろうとしている。日産は9月、車載用リチウムイオン電池メーカーである「ビークルエナジージャパン(VEJ、旧日立ビークルエナジー)」の買収を発表した。主にHV向け電池調達の強化を買収の狙いとしているが、ある日産幹部は「EVシフトも見据える長期的な視点に立った戦略的な買収だ」と話す。
政府系ファンドのINCJ(旧産業革新機構)が保有する同社の株式47%など、株式の過半を取得する。VEJは、ハイブリッド車(HV)向け車載電池の生産が主で、日産のコンパクトカーである「ノート」や多目的スポーツ車(SUV)「キックス」だけでなく、マツダやルノー、フォードの複数車種にも搭載されている。
買収の真の狙いとして浮かび上がるのが、電池の内製化による安定調達と今年8月にアメリカで成立した「インフレ抑制法(IRA)」などによる「中国外し」政策から見込まれるリスクの低減だ。
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