1962年の設立からホンダ直系サプライヤーとしての役割を果たしてきた子会社、ホンダロックの売却が発表された。サプライヤーの間からは今後の動きについてより注目度が高まっている。
「ホンダとして系列の選別が始まったということではないか」。あるホンダ系部品メーカーの首脳はつぶやいた。
ホンダが8月4日に発表したニュースリリースは、同社と関係が深いサプライヤーの関心を集めた。自動車や2輪車などのキーシステムを手がけるホンダロックを、ミネベアミツミに売却するというものだ。
ホンダロックはホンダの完全子会社で、1962年の設立からホンダ直系サプライヤーとしての役割を果たしてきた。ホンダによると、「多様な分野での技術や価値創出に強みを持つミネベアミツミの下で事業を運営することが、将来的な事業成長につながると判断した」ことから売却が決まったという。
ホンダが売却についてサプライヤーに個別説明
ホンダの竹内弘平副社長は「技術力を生かして、事業を拡大できると(ミネベアミツミから)お話をいただいた」と話しており、ホンダロックとしても自動車領域以外へと進出できる可能性を考慮したとみられる。2022年中の取引完了を予定する。
ベアリング大手のミネベアミツミは2019年に自動車用のドアやアンテナを手がけるユーシンを買収した。ユーシンはヨーロッパや中国などで主にマツダやスズキ向けの部品を販売してきたが、ホンダロックはホンダ向けがほとんどでアメリカに工場を持つ。
部品の親和性が高い両社で互いに得意とする領域を相互補完することも可能で、ミネベアミツミの貝沼由久会長兼社長は「(ホンダロックは)ホンダビジネスへのプラチナチケット。ホンダのティア1になることで、かなりビジネスチャンスが広がるだろう」と狙いを話す。
一方、発表に伴いホンダの購買部門幹部が関係の深いサプライヤーに、売却について個別に説明に回った。あるホンダ系部品メーカーの幹部は「ホンダ直系のサプライヤーを手放すということでわれわれ(部品メーカー)への混乱が起きることを懸念したのではないか」と指摘する。
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