マレリだけじゃない、日産系部品メーカーの苦悩 半導体不足やコロナ痛手、ゴーン時代の弊害も
「彼ら(日産自動車)の言う生産計画の通りに動いていたら赤字が膨らむだけだ」
ある日産系部品メーカーの首脳はいらだちを隠さない。
日産を主要取引先とする大手部品メーカー・マレリの経営破綻は、他の日産系部品メーカーにとっても他人事ではない。カルロス・ゴーン元会長の逮捕や検査不正によるブランド毀損、新型コロナウイルスの感染拡大などがあって、日産の生産台数は2018年以降右肩下がりが続く。2017年と比較すると、2021年は約4割減った。生産台数で業績が左右されやすい部品メーカーにとっては経営に大きな打撃になっている。
加えて、ここ数年各社の頭を悩ませているのが、半導体などの部品不足による生産の混乱だ。生産数量そのものが落ちていることに加えて、昨年からは生産計画が不安定化。直前になっての減産で適正な人員体制を敷くことができず、過剰な体制のままで固定費負担が増して採算が悪化するという状況が繰り返されている。部品メーカーからは「負のスパイラル状態」という声が上がる。
こうした経営環境はトヨタ自動車やホンダといった系列部品メーカーでも大小はあれ同じ状況と言えるが、日産系部品メーカーの業績の低迷ぶりはとりわけ目立つ。
主な日産系部品メーカーの2022年3月期業績を見ると、7社中3社が営業赤字となっている。2期連続で最終赤字に陥った内装部品の河西工業は、2020年3月に650億円あった純資産が2022年3月には318億円と半減した。
こうしたことがあり、2022年5月にはシンジケートローンの契約やコミットメントラインの締結で約300億円を調達するなど、厳しい経営が続いている。日産が合理化や販売奨励金の削減などを進めて、3期ぶりに最終黒字に転換したのとは対照的だ。
ゴーン時代の拡大路線の弊害
半導体不足やコロナ禍といった外部環境以外にも苦境の原因はある。その一つが日産による過去の拡大路線の弊害だ。
ゴーン元会長時代の日産は、2010年代に生産規模を追い求めることに邁進。日産を主要取引先としていた部品メーカーもこぞって海外に進出し、生産拠点を建設してきた。
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