EV普及のカギは「住まい」にあると言える納得理由 既存住宅などへの「充電器の普及」が課題だ
電気自動車(EV、以下プラグインハイブリッド車も含む)普及のカギは住まいにある──。
こう述べると、違和感を感じる人がいるかもしれない。というのも、一般的にこの話は新車販売の拡大と、「急速充電器」という大がかりな設備の普及について語られることがほとんどで、住まいと関連付けられることは少ないからだ。
しかし、本来は住まいそれぞれに充電器があれば、EVはより暮らしに密着したものになり、普及しやすくなるはずである。EV普及は「クルマの家電化」をうながすものと評される。本格的に住まいで充電ができる環境となると、より家電化に近づき、さらに暮らしへの貢献度が高まる。
本稿では、そんな視点からEV普及の課題を浮き彫りにしたい。まず、EV充電の仕組みについて確認しておく。普通充電と急速充電の2つがあり、前者は住宅や事業所など、後者は高速道路のサービスエリア・パーキングエリアなどで導入、設置されるイメージだ。
前者は一般的に200V(出力約3.0kW)のコンセントを通じ、クルマを使わない時間帯に8時間から12時間かけて充電する。後者は一般的に50kW超の出力があり、「30分程度で約80%まで充電可能」(充電器を製造販売する日東工業のホームページより)だ。
急速充電器の設置拡大より合理的
報道によると、政府は2030年までに急速充電器を国内で3万基設置することを新たな成長戦略に盛り込むと決定。これにより、ガソリンスタンドで給油するのと同じような環境を作るという。
このニュースに触れ筆者は、EVに乗らない夜間などに自宅でフル充電し、不足したら外部の施設で急速充電器を使うというのが本来のかたちではないか、と考えた。急速といっても30分はかかるわけだ。
よっぽど混んでいない限り、ガソリンスタンドでの給油なら10分はかからない。そうした状況に慣れているドライバーなら、ストレスを感じるはずだ。何より、自宅でなら日中よりも割安な深夜電力で充電でき、経済的なメリットもある。
急速充電器の必要性を否定するわけではないし、今後の技術進展によってより充電時間が短縮される可能性もある。だが、そんなことを考えると、自宅などで普通充電器を普及させたほうがより合理的ではないかと思うのだ。
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