EV普及のカギは「住まい」にあると言える納得理由 既存住宅などへの「充電器の普及」が課題だ
ところで、充電器は住まいからEVへの充電にしか使えないが、双方から電力を充放電ができる「Vehicle to Home(V2H、ビークルトゥホーム)」と呼ばれる仕組みもすでに実用化している。
EVは家庭用に比べ大容量の蓄電池を搭載している。それを生かし、住まいに設置されている太陽光による発電電力をEVにため使うことで、電力の自給自足に近い生活による環境貢献、光熱費低減に役立てられる。つまり、EVを最大限活用できるようになるわけだ。
中でも注目されるのが災害への備え。太陽光発電の電力とEVの蓄電電力を活用することで、停電時に電力を確保できる。そのため、テレビや冷蔵庫、エアコンなどの主要な家電・設備が使える状況が期待できる。
大きな災害ではインフラの復旧には時間がかかり、停電も長く続く傾向にあるが、そんな状況にあっても日常に近い暮らしができる可能性が高まるわけだ。とくにお年寄りや小さな子どもがいる世帯には利点が多いだろう。
このほかに、東日本大震災ではガソリン不足が発生し避難や救援活動の妨げになったが、EVは太陽光発電で充電できるため、災害時でも移動手段の確保が可能になり、行動の幅が広がるといったことも期待できる。
つまり、V2Hは住まいとクルマの理想的な融合の事例と考えられるわけで、現在では国や自治体による補助金制度も用意されている。しかし、全体から見るとまだまだ設置実績は少なく普及が始まったばかりだ。
クルマ・住宅業界による協働に期待
そもそもEVそのものの普及が進んでいないこと、導入コストの高さなどが大きな理由だが、筆者がとくに指摘したいのは住宅業界とクルマ業界が共同で積極的な普及への取り組みを行うといった状況が見られないことだ。
このことは充電器にも言えることであり残念に感じている。クルマメーカー、住宅事業者がバラバラに動くのではなく、タッグを組み協力して普及を模索することも、今後のEV普及に向けた課題と筆者は考える。
例えば、トヨタ自動車は昨年12月、EV戦略についての説明会を開催し、2030年までに世界で30車種を発売すると発表している。そのうえで思うのは、出資する住宅関連企業「プライム・ライフ・テクノロジーズ(PLT)」との協働が図られないものだろうか、ということだ。
PLTはパナソニックホームズ、トヨタホーム、ミサワホームという日本を代表するハウスメーカーを傘下にしており、トヨタ自動車と3社とのタッグは一定のボリュームを生み、インパクトを持つに違いない。
そこでできあがった普及のかたちは、ほかのクルマメーカーや住宅事業者にも役立ち、刺激にもなるだろう。さらにEVと住まいに関する課題は世界的にも共通であるはず。近年はハウスメーカーの海外進出が相次いでおり、EVと住まいの両面による国際競争力の強化も期待できそうだ。
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