テスラの半分しか走れない「ホンダ新EV」の狙い 航続距離よりも都市部での日常使いを優先

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日本で10月末に発売した「ホンダe」。ホンダにとって初の量産型EVだ(編集部撮影)
世界的な環境規制の強化を受け、電気自動車(EV)の波が広がりつつある。この分野ではアメリカのEV新興企業であるテスラなどが先行するが、伝統的な自動車メーカーによるEVも相次ぎ登場し始めた。
そうした中、ホンダが同社初の量産型EVとして投入したのが「HONDA e(ホンダe)」だ。今夏に先行して欧州で発売し、日本でも10月末に販売を開始した。
ホンダeはサイズも航続距離も控えめだ。軽自動車より大きな普通車ではあるが、全長は3.89メートルでコンパクトカーに分類されるサイズ。また、1回のフル充電で航続できる距離は最大283キロメートルと、テスラ車や日産が来夏に投入する新型EV「アリア」と比べて約半分にすぎない。
ホンダはどんなメッセージを込めて、「ホンダe」を世に送り出したのか――。開発責任者を務めた一瀬智史氏に開発の経緯と狙いを聞いた。

「街中ベスト」を目指す

――ホンダe開発の経緯を教えてください。

欧州で2021年に厳格化されるCAFE(企業別平均燃費基準)規制への対応として、開発が始まった。基準を満たさなければ罰金を課せられるので、温室効果ガスの削減に寄与するEV投入が必要だった。そこをスタートに、CAFE対応をせっかくやるなら、人もクルマも多く、環境負荷の高い都市部をターゲットにしたクルマをつくろう、という方向に議論がまとまっていった。

――都市部がターゲットというように、ホンダeは「街乗り」をコンセプトにしています。

欧州の街を実際に視察したら、パリやロンドンでは狭い道が多く、縦列駐車で限られたスペースに駐車している光景を非常に多く目にした。だったら、小回りがきき、サイズも小さくて運転しやすいクルマにしないと使いにくいだろう、ということで「街中ベスト」を打ち出した。

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