日本電産、「元日産の新社長」にのしかかる重圧 就任2年弱で吉本・現社長を更迭したわけ
「関を招くにあたって、日産にはご迷惑をおかけした」
日本電産の永守重信会長は2月4日、京都ホテルオークラで開いた社長交代の記者会見の冒頭でお詫びした。
日本電産は同日、1月に入社していた元日産ナンバー3の関潤特別顧問が4月1日付けで社長兼最高執行責任者(COO)に就任すると発表。同時に、現社長の吉本浩之氏は3月1日に家電産業事業本部長に就任したうえで、4月1日に副社長となることも公表した。
「吉本切り」で日産の関氏を招聘
2018年6月に社長に就任し、永守氏の後継者と目されていた吉本氏は、そのポジションをいったん関氏に譲ることになった。永守氏は「(吉本氏に)潜在能力はある」と擁護しつつ、「2030年に売上高10兆円企業」という目標をいち早く達成するために、一見すると非情な「吉本切り」を敢行してまでも関氏を招聘する道を選んだ。
永守氏が社長交代を本格的に考え始めたのは2019年の夏ごろだった。2019年7月に発表した2019年4~6月期の決算発表で、日本電産は営業利益が前期比39%減少で、新年度早々に営業減益決算を公表するのは2013年以来となる。
米中摩擦の激化や新車販売台数の減少など、日本電産を取り巻く環境は2019年初から厳しさを増していた。「成長が続いた日本電産でも減益になるのは仕方ない」(外資系証券アナリスト)という声も出ていたが、2018年に下した自身の判断を永守氏はすでに反省し始めていた。
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