公立で起きた「堀川の奇跡」
京都は私学発祥の地と呼ばれ、東京と並んで私学が多いことで有名だ。その一方、公立高校はというと、進学実績などで私学に大きく水をあけられ、「国立大学に進学するなら私学に」といわれる時代もあったという。
その京都で2002年に「堀川の奇跡」と呼ばれる現象が起きた。公立の市立堀川高校の躍進だ。前年度の国立大学への合格者数は6人だったにもかかわらず、この年一気に106人まで増えたのだ。
直近2016年度の進学実績(現役生のみ)は国公立大学129人(内、東京大12、京都大32、大阪大7、神戸大9)、私立大学183人(早慶7、関関同立92)となっており、現役東大合格者数は同校過去最多。公立高校における東大・京大の現役合格率は全国1位だ。現在では、スーパーグローバルハイスクール(SGH)とスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校ともなっている。
同校の躍進の陰にはさまざまな取り組みがあったが、象徴的だったのは1999年に普通科と並んで「探究科」を設けたことだ。当時、京都市の教育長だった門川大作市長はこう話す。
「探究科は、特別な受験勉強をする学科ではありません。生徒は自らテーマを決めて、研究していく。そこに京都大学の大学院生や教師がサポート役として入る。研究していくうちに、生徒の心が変化していく。高校卒業後も研究を続けたい。そのためには基礎学力が必要だし、設備の整った大学に通いたい。そう考えるようになる子もいます」
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