公立が躍進、京都の教育改革で何が起きたか 進学実績が劇的に変化

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探究科は「探究する力を育成する」学科で、具体的に育成しているのは「興味関心を持つ力」「課題を設定する力」「課題を解決する力」「他者に表現する力」。何を探究するかは、生徒一人ひとりが自分で見つけることになる。「探究基礎」という授業をカリキュラムに盛り込み、その授業では1年半かけて3段階の手順に基づいて進められる。

最初に行うのは、探究の「型」(探究の進め方や表現方法)を学ぶこと。次に学ぶのが「術」(具体的な調査技法。実験・フィールドワーク・資料の見方など)。そして最後に「道」(実際に探究活動を進めることで普遍的な探究能力を高める)を学ぶ。情報取得の基礎学習から問題解決の体験を経て、論文作成に至るまでの取り組みを進めるというものだ。

一般的な偏差値教育とは違う、個性的なアプローチだが、そのおかげで生徒は自分の探究心に沿って学び、その延長としての進学先を考えることができる。

この探究科は現在の総合的な学習の時間のようなものといえる。今日21世紀型スキルと呼ばれるような、論理力、思考力、協働する力、リーダーシップ評価の「ものさし」が明確に存在しない中での、先駆けた取り組みだった。

あくまでも生徒が中心で、周囲の大人は教えるのではなく、本人たちが考えるのをサポートする役目が大きい。当時教育長をしていた門川市長はこう話す。

門川大作市長

「1995年に起きた地下鉄サリン事件では、有名大学卒の容疑者たちが複数いた。それを見て、このような人たちを育てるような教育は絶対にしない。社会で何かしら人のために役に立てるような子どもを育てたい。子どもたちが30歳になったときにどのような生き方をしているか、それを考えながら教育していきたいと強く思った。堀川でできたことは、どこでもできると確信している」

公立の小中学校の改革

堀川の奇跡の後、京都では公立の小中学校の改革も進んだ。2004年に内閣府の構造改革特区制度を利用して「小中一貫教育特区」の認定を受けた地域において、小学校における英語科や小中一貫の読解カリキュラムを設け、小中の連続性を高め一貫教育の形をつくってきた。その結果、中学入学時に生活不適応を起こす「中1ギャップ」が緩和され、学力向上も見られたのだ。

小中学校の改革の中で、特に注目したいのは御所南小学校だ。

同小学校は1995年に5つの小学校が統合し誕生した学校。御所南小学校の開校当初は662人だった児童数は、2016年度現在はほぼ倍増の1254人。人気化で児童数が増えており、学校施設は手狭で教室数も不足していることから、2018年に「御所東小学校」が開設される予定と盛況だ。

同小学校では、フィンランドの教育法を取り入れ、独自教科「読解科」を導入して課題解決能力等の育成に取り組んだり、地域との連携による総合的な学習の時間を柱とした教育課程に取り組むなど、先進的な取り組みが注目されている。

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