たとえば小学校で。授業がすべてiPadを活用して行われるようになったら、学校はどうなるだろう?
たとえばテレビ局で。キャスター以外すべてロボットの無人スタジオでニュース番組を作ることは可能だろうか?
たとえば公民館で。地域の人が集まり最先端のテクノロジーを使いこなすコミュニティ活動が繰り広げられたら、どんなものが生まれてくるだろうか?
テクノロジーについて、「今後10~20年の間に、人間の仕事の約半分がAIやロボットに奪われる」といった危惧が喧伝される一方で、「働き方改革」などの文脈ではAIやロボットによって生産性が向上し、人手不足や長時間労働の問題を解決してくれるのではないかという期待も大きい。
重要なことは、過度に恐れるのでも過剰に期待をかけるのでもなく、自分自身が主体的にテクロノジーにかかわり、活用していくことで、テクノロジーを「味方にする」ことではないだろうか。
テクノロジーと人の幸せな関係性を、私たちはこれからどのようにして築いていくべきか。オランダとデンマークの現場から、そのヒントを探っていく。
「落ちこぼれ」も「吹きこぼれ」も存在しない学校
あるとき1人の保護者が、自分が小学生だった30年前と同じ教育が今も学校現場で行われていることにふと気がつく。
情報端末の使用も禁じられており、そのあまりのアナログさ、世の中の実情との乖離に、「これは未来へ向けた教育ではない。1990年に戻るための教育ではないか」と疑問を感じたことから、新しい学校が生まれた。それが2013年に発足したスティーブ・ジョブズ・スクール(De Steve JobsSchool)だ。
オランダでは教育の自由が憲法で保障されており、各学校が独自の教育プログラムを採用できる。また、200人以上の保護者の同意が得られれば学校の新設も認められている。
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