「働き方改革」が叫ばれる日本。過剰な長時間労働や正規・非正規労働者の格差などが問題視されているが、「どうすれば新しい発想やイノベーションを生み出す働き方が実現できるか」についても議論が盛んだ。
どのようなワークスタイルや仕事の環境であれば、イノベーションにつながるのか。多様で先進的な働き方を実践しているドイツとオランダの事例、また最先端の人材育成教育を行う人事コンサルタントの話から考えてみたい。
「知」をマッチングし、シェアする
人と人とが出会って知識を共有し、共に働く。そんなワークスタイルを実現するために、2007年、オランダのユトレヒトに誕生したのが「Seats2meet (シーツトゥーミート)」だ。
すでにオランダだけで100拠点を展開している。年間約37万5000席が有料の座席として利用され、さまざまな種類の有料会議室も貸し出しているが、特徴的なのはそれだけではない。約12万5000の座席が「社会資本(Social Capital)払い」で利用されていることだ。
「社会資本払い」とは、個人が持つナレッジやスキルを提供することで、座席がタダで使えるという仕組みだ。
たとえば入り口でチェックインすると、いまスペースにいる人の興味関心・専門分野などのプロフィール情報が公開されている。そこで知り合いたい相手が見つかったら、マッチングシステムを使って出会えるようになっている。得意分野の異なる人同士が出会い、それぞれが持つ「知」「経験」「スキル」などをシェアでき、かつ利用料がタダになるのだ。