同校では保護者・地域が学校運営に参加する「学校運営協議会」を設けたコミュニティ・スクールが特徴的だ。2002年に地域と連携して「学校の裁量権の拡大」や「地域の学校運営への積極的な参画」などをテーマとした実践研究を同校で開始。健康安全部会や文化部会といった学校支援活動を行う「企画推進委員会」を設置したり、「学校関係者評価」を取り入れた。その目的は学校と地域相互の評価を基に学校運営を改善することだ。このようなコミュニティ・スクールは、2016年度末現在では全市立学校・園の約9割にあたる239校園に設置されており、全国最多となっている。
また学校運営協議会設置校では、10年以上前から教員公募制を採用している。異動や退職で教員に欠員が出た場合、学校は求める先生を市内の教員から公募することができる。候補者の面接には校長とともにPTAや学校運営協議会の代表も同席する学校もあるという。一般の学校現場では見られないほど関係者の参加意欲が高いと感じる。
また、1週間5日間連続の学校参観日「自由参観」を設けた。授業参観というと、指定された半日や1日が通常だが、5日連続にすることによって親にとって参加しやすくなる。ほかでは見られない取り組みだ。
小中学校の改革を経た今、御所南小学校、同校と同じ校区にある京都御池中学校、そして堀川高校に進学するのが公立では「エリート」、つまりアンテナの高い親がその学区に引っ越しをしてまでも子どもを入学させたいと考える進学先といわれるようになっている。
堀川高校と並んで西京高校も進学校として知られるようになっている。2016年度の合格実績は、272人の卒業生の内、東大・京大が29人、北海道大学・東北大学・名古屋大学・九州大学の旧4帝大が62人等、京都府内の公立高校の中でもトップレベルにある。
テクノロジーが教育に与える変化
このように変貌を遂げる京都の教育だが、一部の学校の偏差値を上げたことだけが成果ではない。不登校児童生徒に対するICTを活用した学習支援も特筆すべき点だろう。
京都府の公立小中学生で長期欠席者(年度間に30日以上欠席した者)は2015年度で3789人いるが、2007年度から、市立中学校に在籍する長期欠席の傾向にある生徒に、学校が教材を配信し、生徒が自宅で教材をもとに自学自習できるシステムを導入した。遠隔で学習指導を行うシステムが有効に機能すれば、一人ひとりの子とより向き合うことが可能になるだろう。
京都の児童生徒へのパソコン整備は児童生徒5.4人に1台と、政令指定都市では2番目、100万人を超える政令市では最も充実した台数を配備。2016年度から全小中学校の普通教室および全小学校のコンピュータ教室にタブレット型PCの整備を進めるなど、地道な取り組みも背景にはある。
約20年前に始まった、偏差値教育とは縁遠い「探究科」を設置するという取り組み。そして、地域ぐるみで課題解決に取り組む姿勢は、京都ならではのものだ。
2020年に小中高の次期学習指導要領が改訂され、小学校で教える内容が増える。たとえばプログラミング教育が始まるほか、5、6年生では英語が必修となる。ただでさえ教師の多忙が深刻化する中、自治体として何を重視し、取捨選択していくか。京都の取り組みには参考になるところがあるはずだ。
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