水素インフラ普及を促す「トヨタの秘策」 トヨタが描く「燃料電池車」戦略の成否②

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都内の水素ステーションで水素を充填するトヨタのミライ。水素ステーションはFCV普及に必須だが、国内では135カ所の設置にとどまる(記者撮影)

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2020年12月に初の刷新を迎えたトヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」。課題だった航続距離を初代に比べ3割伸ばして850kmとした一方、価格を30万円引き下げて税込み710万円からとした。国の補助金を適用すると実質的な負担は570万円。さらに東京都のように自治体からも補助金が出るケースもあるが、それでも高級車並みの価格であることには変わりない。

立ちはだかる充填インフラ問題

首都圏のあるトヨタ系販売会社では発売1カ月で10数台の受注があった。2014年に発売された初代ミライの販売台数の3分の1に相当し、滑り出しとしては上々だ。ミライユーザーには弁護士や医師といった専門職が多く、新しいテクノロジーへの関心も高いという。この販社ではまずは初代ユーザーに新型車を提案し、「クラウン」や「レクサス」など上級車種に乗る富裕層にもアプローチする考えだ。

ただ、販社の幹部はこうも話す。「(水素燃料を充填する)水素ステーションまで距離がある地域のお客さんに、この車を買ってもらうのは相当難しい。結局のところ、水素ステーションの数が増えない限り、新型車になったからといって販売台数は大きく伸びないだろう」。

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