北越メタル、「35%の大株主」とバトル勃発の裏側 取締役案で真っ向対立、6月21日株主総会の行方

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
取締役案をめぐり、北越メタルと同社の筆頭株主であるトピー工業の争いが激化している(編集部撮影)

新潟地盤の鉄鋼メーカー、北越メタルとその筆頭株主のトピー工業の対立が激化している。

6月21日の北越メタルの株主総会に、トピー工業は取締役3名選任などの株主提案を出し、さらに北越メタル側の取締役候補の3名に反対を表明。対して北越メタルは、「株主提案は、トピー工業の利益のみを追求するもので、トピー工業の行為はガバナンスの観点から重大な問題がある」と猛反発している。

トピー工業側の取締役候補は、トピー工業の専務取締役の大洞勝義氏、同社理事の竹内征規氏、新日本製鐵(現日本製鉄)出身の天川一彦氏の3名。北越メタル案の専務取締役、武仲康剛氏と社外取締役の米田康三氏、中野久氏の選任(再任)に反対している。トピー工業の要求が通れば、新たな北越メタルの取締役は5人のうち3人がトピー工業出身者となる。

かみ合わない両社の主張

1942年創業の北越メタルがトピー工業の前身・東都製鋼のグループ会社となったのは1961年のこと。2005年まではトピー工業の出資比率が40%を越えており、実質支配力基準で同社の連結子会社だった。現在も約35%を保有する持ち分法適用会社だ。北越メタルの棚橋章社長と武仲専務もトピー工業の出身である。そんな密接な相手に、トピー工業はなぜ株主提案をしたのか。

トピー工業の主張はこうだ。「当社(トピー工業・編集部注)グループとの協力体制を軽視し、自己保身を図っていると強く疑われる現経営陣により、北越メタルの企業価値を毀損する可能性が存在」(トピー工業の説明資料)と指摘。北越メタル側に「経営体制に対する対話・協力拒絶」「電気炉トラブル発生時の情報共有の不実施」「従業員死亡事故の再発防止策構築の未実現」などと実例を挙げている。

こうした指摘に北越メタルは、「事実を意図的に歪曲している」と怒りをあらわにする。トピー工業が挙げた実例についても、「人事交流を含めて関係性を継続して検討している」「設備トラブルも報告している」「事故の再発防止策を講じ労働基準監督署にも報告済み」などと一つひとつ反論している。

しかし、東洋経済の取材に対してトピー工業は、「個々の見解に反論することはいたしません」と言うのみで詳細な説明を拒んでいる。

次ページ対立の原点は2021年2月の出来事
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事