中国経済を牽引してきた「不動産バブル」が終焉を迎えようとしている。ソフトランディングを目指す政府だが、大幅な実需減は不可避だ。
古来、中原と呼ばれてきた黄河中流域に位置する河南省。その省都で人口1000万を擁す鄭州市が不動産危機の焦点として注目されている。中国全土で騒がれ、政府が対策に乗り出している「爛尾楼(らんびろう=工事が中断されたままのビル)」の増殖ぶりが最も深刻なのだ。その多くはマンションだ。
鄭州では不動産販売が急速に冷え込んでいた。今年上半期に新築住宅の販売量は前年比50%近くも下落。その後も下げ止まりの気配を見せていない。
需給大崩れで爛尾楼が激増
現地報道によれば、2016年から20年にかけて鄭州で着工したマンションは合計437万人の需要を満たす規模だった。しかし他都市との産業誘致レースに敗れた鄭州で同時期に増えた人口は、303万人にとどまった。さらに昨年7月には周辺一帯が水害に襲われ、地域の中小企業が大きな打撃を受けた。需給大崩れの結果が爛尾楼の激増だ。鄭州市政府はつなぎ融資の実行を条件に、デベロッパーに工事再開を働きかけた。
爛尾楼の増殖は鄭州だけではない。中国の不動産販売は全国で猛烈な落ち込みを見せている。データがある31の省・自治区・直轄市のうち、1~8月の住宅販売額が前年同期比でプラスなのは上海市のみ。マイナス幅が30%台の地域が8つ、40%台の地域が7つに及ぶ惨状だ(下図)。
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