習近平「おきて破り」人事で中国経済に大荒れ予感 首相には実務派よりも「軽量級」の側近を起用

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10月23日、新たな最高指導部メンバーを披露する習近平国家主席。習氏のすぐ後ろが李強氏。最後まで緊張した面持ちだった(写真・ 2022 Bloomberg Finance LP)

「さきほどの会議で、私が引き続き総書記に選出されました。今からほかの常務委員会メンバーを紹介します」。10月23日、日本時間の13時過ぎ。北京・人民大会堂の大広間で習近平国家主席がゆっくりと話し始めた。中国共産党のトップである総書記として、異例の3期目に入ったことを世界に宣言したのだ。毛沢東の独裁が悲惨な結果をもたらした文化大革命の反省から、最高指導者の在任期間は2期10年までとされてきた慣例を覆した。

共産党の意思決定機関は205人の中央委員会だ。その心臓部である中央政治局は今回24人になった。ここからさらに選ばれる、文字通りの最高指導部が常務委員会である。習氏が総書記に就任した2012年以降は7人で構成されている。そもそも中央政治局委員は68歳を超えると再任できないのが不文律だったが、6月で69歳になった習氏はこちらも反故にしている。

昇格組はいずれも習主席の側近

李強、趙楽際、王滬寧(おう・こねい)、蔡奇、丁薛祥(てい・せつしょう)、李希……習氏を中心に壇上に並んだ6人の名前が序列の順に読み上げられた。趙楽際、王滬寧の両氏は過去5年も常務委員を務めた再任組だが、今回昇格した4人には共通点がある。いずれも習氏と個人的に極めて近いとみられているところだ。序列2位の李強氏は来年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で首相に就任するとみられる。

中国では総書記は政治、首相は経済を分担するのが慣例だ。それだけに日本の経済界でも「次期首相は誰か」には大きな関心が寄せられてきた。首相の任期は10年に制限されているので、李克強氏が交代するのは既定路線だった。中国では首相に就任するには、副首相の経験があることが不文律となっているが、李強氏は該当しない。本来なら候補者は常務委員だった汪洋氏、中央政治局委員だった胡春華氏の二人だった。汪洋氏は元副首相、胡春華氏は現職の副首相として、それぞれ中央で経済政策の経験を積んできた実務派だ。

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