中国の半導体受託製造(ファウンドリー)最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC) が、更なる生産拡大計画を打ち出した。同社は8月26日、総額75億ドル(約1兆278億円)を投じて天津市に12インチウェハーを用いる生産ラインを新設すると発表。回線幅28nm(ナノメートル)から180nmのプロセス技術で、月間10万枚のウェハーを加工する計画だ。
このプロジェクトに関してSMICは、すでに天津西青経済技術開発区の管理委員会(区政府に相当)と相互協力の枠組み協定を締結済みだ。同開発区内に全額出資の子会社を設立し、新工場建設のための用地入札に参加する予定となっている。
SMICは、今回発表した生産拡大計画は同社の長期的発展に資するものだと説明している。プロジェクトの資金はSMICの手元資金および(銀行借り入れなどの)自己調達資金により賄う計画で、同社の財務状況や業績に重大な影響を与えることはないという。
半導体景気は下降局面入り
「2022年に入って以降、半導体業界はグローバル経済の景気循環と(半導体産業に特有の)シリコンサイクルが同時に下降局面に差し掛かる状況に直面し、市場にパニック的な心理や不確実性がもたらされている」
SMICの共同CEO(最高経営責任者)を務める趙海軍氏は、8月12日に開催した2022年4~6月期の決算説明会でそう率直に語った。
だが、半導体景気が全体的に減速するなかでも、SMICはなお生産能力拡大に邁進している。その理由について趙氏は、「ファウンドリー市場におけるSMICのシェアはまだ小さく、わが社の増産が市場全体の需給関係に大きく影響することはない」と説明した。
市場調査会社の集邦諮詢(トレンド・フォース)のデータによれば、ファウンドリー市場の2022年1~3月期の世界シェアは首位の台湾積体電路製造(TSMC)が53.6%、2位のサムスン電子が16.3%だった。これに対し、同時期のSMICのシェアは5.6%にとどまっている。
(財新記者: 翟少輝)
※原文の配信は8月27日
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