世界的な半導体不足による価格上昇を背景に、中国の半導体受託生産(ファウンドリー)最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)の業績が拡大している。同社が11月11日に開示した7~9月期の決算報告によれば、売上高は前年同期比21.5%増の92億8100万元(約1653億8700万円)、純利益は同22.6%増の20億7700万元(約370億1200万円)と、そろって20%を超える増収増益を達成した。
「7~9月期の成長は、製品構成の最適化と販売価格の調整(値上げ)が主に牽引した」。SMICの共同CEO(最高経営責任者)を務める趙海軍氏は、11月12日に開催した業績説明会でそう語った。同社は10~12月期の売上高が7~9月期よりさらに11~13%増加すると見込んでおり、2021年の通期売上高の成長率目標を前年比29%増に引き上げた。
SMICは、2022年も半導体業界の好況が続くと予想する。同社の(現在の)生産能力では顧客ニーズの拡大に追いつけない。そのため同社は、上海市の自由貿易試験区臨港新片区で新工場の建設準備を進めている。
上海市政府系や国策ファンドが出資
SMICは9月3日、臨港新片区管理委員会(区政府に相当)と新工場建設に関する枠組み協定を結び、上海市政府系の投資主体と合弁会社を設立すると発表。回路線幅28nm(ナノメートル)以上の成熟したプロセス技術を用いて、12インチウエハーで月間10万枚を生産する計画を明らかにした。
11月12日の業績説明会では、その最新の進捗状況が説明された。新工場を建設・運営する合弁会社は、SMICの完全子会社の中芯控股が66.45%、上海市政府系の投資会社の海臨微が16.78%、国策ファンドである国家集成電路産業投資基金の2号ファンドが16.77%を出資して、すでに設立された。3者の出資総額は55億ドル(約6270億円)に上る。
ファウンドリーは多数の顧客の異なるニーズに対応する必要があるため、製品構成がどうしても複雑になる。SMICの趙氏によれば、新工場にはそれに対応できる特殊な生産技術を導入し、より高い投資効率と生産ライン稼働率の実現を目指している。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は11月12日
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