中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は生産能力の増強に乗り出す。同社は3月17日、深圳市政府系の国有企業と提携契約を結び、12インチ(300ミリ)ウェハーを使用する新工場を建設すると発表した。総投資額は23億5000万ドル(約2563億円)を見込み、2022年の生産開始を目指している。
SMICの子会社の中芯国際集成電路製造深圳(中芯深圳)が、深圳市国有資産監督管理委員会傘下の深圳市重大産業投資集団(深圳重投)からの出資を受け入れ、新工場の建設と運営にあたる。出資完了後の持ち株比率はSMICが55%、深圳重投が23%未満とされ、残りは別の投資家の出資を仰ぐもくろみだ。
なお、新工場では回線幅28nm(ナノメートル)以上の相対的に成熟したプロセス技術を採用する。顧客の需要のボリュームゾーンに焦点を当てるためで、生産能力は12インチウェハー換算で月産4万枚を計画する。
需要の9割以上は成熟した40~350nm
中芯深圳は2008年にSMICの全額出資で設立。2014年末に稼働した8インチ(200ミリ)ウェハーを使用する既存工場では、150~350nmのプロセス技術を用いた受託生産を行っている。
アメリカ政府は2020年12月、アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断した企業等を列挙した「エンティティー・リスト」にSMICを追加した。その後、半導体業界ではSMICがアメリカから製造装置や原材料の調達を継続できるかに注目が集まっていたが、ここにきて、14nm以上に対応するものなら輸出許可が下りるとの見方が広がっている。
逆に言えば、SMICが制裁下にもかかわらず新工場への投資を決断したのは、14nm以上の製造装置の調達にメドがついたためだろう。
今回の投資計画は、SMICのビジネスの実情にも合致している。同社が2月4日に発表した2020年10~12月期の決算報告によれば、同四半期の売上高の95%は成熟した40~350nmの受託生産によるものであり、より高度な14nmおよび28nmは5%にすぎなかった。
(財新記者:屈慧)
※原文の配信は3月18日
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