中国の半導体受託生産最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)は2月5日、2020年の通期決算と同年10~12月期の四半期決算を発表した。それによれば、通期の売上高は前年比25.5%増の39億700万ドル(約4114億円)、純利益は同54.6%増の7億1600万ドル(約754億円)に達し、そろって過去最高を更新した。
また、2020年10~12期の売上高は前年同期比16.9%増の9億8100万ドル(約1033億円)と、四半期ベースで過去2番目の高水準を記録。純利益は2億5700万ドル(約271億円)と、前年同期の2.9倍に増加した。
ところが、こうした好業績にもかかわらずSMICの株価は急落した。上海証券取引所に上場する人民元建て株式の2月5日の取引は前日比4.77%安の52.06元(約848円)で終了。香港証券取引所の香港ドル建て株式の終値は同10.62%安の24.50香港ドル(約332円)と、2桁の下落となった。
投資家の懸念を誘発したのは、SMICに対するアメリカ政府の制裁発動の影響だ。アメリカ商務省は2020年12月18日、アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断した企業等を列挙した「エンティティー・リスト」にSMICを追加した。
「自力救済に向けた努力を続ける」
この事実上の禁輸措置により、半導体の製造装置、材料、設計ソフトウェアなどを販売しているアメリカ企業は、商務省の許可を得なければSMICに製品を供給できなくなった。同社にとって、それは将来の生産能力の拡張計画が重大な制約を受けることを意味する。
アメリカ政府の制裁で生じた不確実性を考慮し、SMICは2021年の業績見通しを引き下げざるをえなくなった。同社のCFO(最高財務責任者)を務める高永崗氏は決算説明会で、2021年1~6月の目標売上高は約21億ドル(約2211億円)だと明かした。これは2020年7~12月からほぼ横ばいの水準だが、高氏によれば「(制裁以前の)経営の連続性が変わらなければ」という但し書きが付いている。
SMICの共同CEO(最高経営責任者)の趙海軍氏は、経営トップとしての複雑な心境を決算説明会で次のように語った。
「仮にアメリカ政府の制裁の影響がなければ、当社の経営は2021年も昨年同様の高い成長を維持できたはずだ。しかし、社外で生じた不可抗力は制御のしようがない。当社は自力救済に向けた最大限の努力を続ける」
(財新記者:屈慧)
※原文の配信は2月5日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら