中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は、アメリカ政府の制裁の影響により高性能の半導体の調達が困難な状況が続いている。そんななか同社は2月22日、折り畳み式スマートフォンの新製品「Mate X2」を発表した。
Mate X2はファーウェイの折り畳み式スマホの第3世代で、初代の「Mate X」および第2世代の「Mate Xs」から外観が大きく変わった。旧機種はディスプレーを外側にして折り曲げる「山折り」式だったが、Mate X2は内側にして折り曲げる「谷折り」式になったのだ。さらに、折り曲げた本体の外側にも6.45インチのディスプレーを追加した。
ファーウェイ製のスマホのなかで、Mate X2は最高級機種に位置づけられている。メーカー希望価格はストレージ容量256GB(ギガバイト)の下位機種が1万7999元(約29万3024円)、512GBの上位機種が1万8999元(約30万9304円)となっている。
だが、気になるのは市場の需要に応えられるだけの半導体をファーウェイが確保できるかどうかだ。Mate X2は心臓部のSoC(訳注:システムオンチップの略称。CPUや通信モデムなどの基幹機能を1つのチップにまとめたもの)に自社開発の「麒麟(Kirin)9000」を搭載する。これは昨秋発売した通常型スマホのフラッグシップ機「Mate 40」と同じものだ。
「十分な量を準備」とは言うものの…
ファーウェイは、アメリカ政府の制裁の猶予期間が切れた2020年9月15日より前にかき集められるだけの半導体をかき集め、それ以降はスマホの生産を絞ることで事業を継続している。その結果、人気機種はつねに市場で品薄状態になり、実売価格も高止まりしている。
そんななか、前世代のMate Xsはファーウェイの直営オンラインショップでずっと「在庫切れ」と表示され続けていた。しかし今回のMate X2の発表会で、コンシューマー製品事業部門のCEO(最高経営責任者)を務める余承東氏は次のように発言した。
「Mate X2のために十分な量の部材を準備した。この折り畳み式スマホを気に入ってくれたすべてのお客様にお届けできるようにしたい」
もっとも、余氏が言う「十分な量」とは、高額なMate X2の需要がもともと小さいことを前提にしている可能性がある。
調査会社のDSCCのレポートによれば、折り畳み式スマホに搭載されるフレキシブルディスプレーの2020年の出荷量は全世界で310万枚にとどまった。しかも、そのうち87%は韓国のサムスン電子が購入し、ファーウェイの調達量は20万枚に届かなかったとみられている。
(財新記者:屈慧)
※原文の配信は2月23日
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