「わが社のスマートフォン向けチップは、2020年7~9月期の販売量が世界トップになった」――。
台湾の半導体設計大手、聯発科技(メディアテック)の副総経理を務める徐敬全氏は、1月20日、5G(第5世代移動通信)スマホ用の次世代SoC(訳注:システムオンチップの略称。CPUや通信モデムなどの基幹機能を1つのチップにまとめたもの)「天璣1200」の発表会でそう胸を張った。
徐氏によれば、2020年の5Gスマホ用SoCの販売量は4500万個に達したという。スマホ用SoCの市場ではアメリカのクアルコムがハイエンド機種を中心に圧倒的な強さを誇り、メディアテックは長年後塵を拝し続けてきた。しかし5G時代の到来が、メディアテックにクアルコムを追い越すチャンスをもたらした。
市場調査会社IDCのアナリストの王希氏によれば、メディアテックの5Gスマホ用SoCの販売先は大部分が中国市場だ。中国では5Gの普及が世界に先駆けて急速に進んでおり、メディアテック製SoCの躍進につながった。
クアルコムより豊富な製品群で躍進
メディアテックの5G用SoCは、製品のラインナップがクアルコムよりも豊富であり、なかでも中~低価格帯のスマホ向けのSoCは中国のスマホメーカーがこぞって採用している。
同社は2019年11月から2020年11月にかけて「天璣1000」「天璣800」「天璣700」という3グレードの5G用SoCを発表。ハイエンドからローエンドまであらゆるスマホをカバーできる製品群をそろえた。なかでも天璣700を搭載したローエンド機種は、中国市場では1500元(約2万4045円)を切るほどの低価格を実現している。
そんななか業界関係者の注目を集めているが、中国の華為技術(ファーウェイ)の元サブブランドで2020年11月に分離独立した「栄耀(Honor)」との関係の行方だ。ファーウェイは、アメリカ政府の制裁強化でメディアテック製を含む半導体の調達が困難になり、栄耀を事業部門ごと売却。深圳市政府直系のハイテク投資会社と栄耀の販売代理会社が共同設立した新会社が経営を引き継いだ。
栄耀は中低価格帯のスマホを得意としており、中国国内で10%を超える市場シェアを持つ。生まれ変わった栄耀とのビジネスについて、メディアテックは財新記者の問い合わせに対して次のようにコメントした。
「メディアテックはグローバルなSoCサプライヤーとして多数のスマホメーカーと取引している。(分離後の)栄耀は新たに設立された独立起業であり、現況を評価している最中だ」
(財新記者:屈慧)
※原文の配信は1月20日
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