中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は11月17日、同社のスマートフォンのサブブランド「栄耀(Honor)」を事業部門ごと売却すると正式に発表した。
ファーウェイはアメリカ政府の制裁の影響でスマホの製造に欠かせない半導体の調達が困難になっており、チップの在庫が尽きれば生産を継続できないリスクに直面している。同社は栄耀売却の声明のなかで、「(アメリカ政府の制裁という)巨大な圧力がかかるなか、栄耀の販売網や部品サプライヤーの生き残りのために決断した」と苦渋をにじませた。
栄耀を買収するのは、深圳市に本拠を置く智信新信息技術という企業だ。法人登記情報によれば、同社は今年9月に設立されたばかりで登録資本金は1億元(約15億8800万円)。株主リストには深圳市政府直系のハイテク投資会社の智慧城市科技発展集団や、栄耀の販売代理会社の社名が並ぶ。
分離後の先行きはまだ不透明
ファーウェイの声明によれば、同社は分離売却後の栄耀の株式をいっさい持たず、経営にも関与しないという。今後の栄耀の舵取りは、ファーウェイの栄耀部門の経営チームが移籍して引き続き担う。
同じく11月17日、智信新信息技術の株主は共同で声明を出し、「所有権の変更は栄耀の発展の方向性に影響しない。栄耀の経営陣と従業員のチームの安定を維持する」と請け合った。
とはいえ、分離後の栄耀の先行きはまだ不透明だ。アメリカ政府の対ファーウェイ制裁の対象から外れ、必要な半導体をスムーズに調達できる保証はないからである。
ファーウェイおよび智信新信息技術の株主の声明は、栄耀の譲渡価格を明らかにしていない。「今回の取引は栄耀が半導体を調達して事業を継続できることを前提にしている。取引が完了するまで一定の時間が必要かもしれない」。あるスマホ業界のアナリストはそう予想する。
(財新記者:何書静、張而弛)
※原文の配信は11月17日
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