中国「ライブ配信大手」に不正会計疑惑が浮上

歓聚集団、BOT使いユーザー数や売上を水増しか

歓聚集団は主力のライブ配信サービス「YY直播」を検索大手の百度に売却することに合意したばかりだった(写真はYY直播のウェブサイトより)

中国のライブ配信サービス大手の歓聚集団(JOYY)に不正会計疑惑が浮上した。11月18日、アメリカの投資会社で「ショートセラー」として有名なマディ・ウォーターズが、歓聚集団が数十億ドルに上る売り上げを捏造していると指摘するレポートを発表したのだ。

ショートセラーは、疑わしい銘柄のレポートを出すと同時に株式市場で空売りをかけることからそう呼ばれる。

マディ・ウォーターズは歓聚集団を1年にわたって調査し、同社がBOT(自動化プログラム)を利用するなどしてユーザー数や収益を大幅に水増ししていることを突き止めたという。主力事業である中国国内向けのライブ配信サービス「YY直播」では売り上げの最大9割、海外向けのライブ配信サービス「BIGO」では同8割が架空の疑いがあるとしている。

レポートの発表後、アメリカのナスダックに上場する歓聚集団のADR(アメリカ預託証券)は急落。11月18日の終値は73.66ドル(7654円)と、前日の終値から26.48%下落した。これに対して歓聚集団は、「マディ・ウォーターズはライブ配信のビジネスに無知であり、レポートは間違いだらけだ」と疑惑を全面否定する声明を出した。

検索大手の百度に飛び火の可能性も

そんななか、決まりが悪いポジションに立たされたのが中国の検索大手の百度(バイドゥ)だ。というのも2日前の11月16日、百度はYY直播を歓聚集団から36億ドル(約3741億円)で買収することに合意したと発表したばかりだったからだ。

百度がYY直播を買収する目的は収益の多角化だ。同社CEO(経営最高責任者)の李彦宏氏は、同じく11月16日に発表した2020年7~9月期決算の説明会で、「競合他社の収益構造と比較すると百度は広告収入への依存度が高く、多角化を模索しなければならない」とコメントしていた。

本記事は「財新」の提供記事です

一方、マディ・ウォーターズのレポートは、百度がYY直播のデューデリジェンス(投資のリスクやリターンの適正評価手続き)を実施した際に不正を見抜けたはずだと指摘。そのうえで次のように疑問を投げかけた。

「百度の成長が鈍化しているのは周知の事実だ。しかし、百度は成長を手に入れるために36億ドルもの現金をつぎ込み、ほぼ丸ごと偽物の事業を本気で買収するつもりだったのだろうか」

(財新記者:葉展旗)
※原文の配信は11月19日

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