中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が、同社のスマートフォンのサブブランド「栄耀(Honor)」を事業部門ごと分離売却する交渉を進めていることが、財新の取材で明らかになった。
財新記者がファーウェイの社内関係者や販売代理会社などから得た情報によれば、同社はすでに複数の売却先候補と会合を重ねており、取引関係のある販売代理会社や政府系資本などが引き受けの意向を示している(訳注:ロイター通信の報道によれば、売却先としてITサービス大手の神州数碼集団〈デジタル・チャイナ〉と深圳市政府の名前が挙がっている)。
栄耀のスマホは、ファーウェイ・ブランドよりスペックを抑えた低価格帯の機種を主力にしている。2013年にブランドを立ち上げた後、コストパフォーマンスの高さで人気を集め、一時は中国のスマホ市場で10%を超えるシェアを獲得した。
ファーウェイのコンシューマー製品部門の関係者によれば、栄耀の分離売却後も、そのオペレーションは現在の経営チームが(移籍のうえ)継続して担う。チームには新会社の株式と日常的経営のフリーハンドが与えられ、買収者は投資家としての役割に重きを置く計画だという。
アメリカの制裁で消えた「一石二鳥」
中国のスマホ業界では、栄耀売却の噂は早くから流れていた。「ファーウェイ・ブランドのスマホは(ハイエンドの)MateシリーズとPシリーズだけを残し、そのほかは栄耀と一緒に切り離す」。10月30日に上海で開催された新型旗艦スマホ「Mate40」の発表会の会場で、ある販売代理会社の幹部は財新記者にそう明かした。
栄耀が売却される直接的な要因は、アメリカ政府の対ファーウェイ制裁でスマホの生産に不可欠な半導体の調達が困難になったことだ(訳注:詳しい経緯は『ファーウェイ向け半導体、ついに「出荷停止」』などを参照)。だが、ある中堅クラスの社員によれば、栄耀はファーウェイ・ブランドのスマホと市場で競合しており、社内にも栄耀の分離を期待する声が以前からあったという。
ファーウェイの5G(第5世代移動通信)事業部門のある幹部は、財新記者に次のようにコメントした。
「ハイエンドのファーウェイ・ブランド向けに自社設計した半導体を、機能を省略してローエンドの栄耀にも搭載することで、(量産効果によるコストダウンと市場のカバー範囲拡大という)一石二鳥の相乗効果があった。しかし自社設計の半導体が調達できなければ、そもそも利益率が低いローエンド機種を続ける意味はない」
(財新記者:何書静、張而弛)
※原文の配信は11月11日
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