ショート動画アプリTikTok(ティックトック)を運営する中国の字節跳動科技(バイトダンス)は1月19日、TikTokの中国国内版である「抖音(ドゥイン)」に独自のオンライン決済機能を実装した。
中国のオンライン決済市場では、阿里巴巴(アリババ)傘下の「支付宝(アリペイ)」と騰訊(テンセント)傘下の「微信支付(ウィーチャットペイ)」の2つが圧倒的なシェアを占めている。抖音のユーザーはアプリ内で買い物などをした場合、今後は支付宝、微信支付とともに「抖音支付(ドゥインペイ)」を選べるようになった。
バイトダンスによれば、抖音支付の導入はユーザーの決済手段の選択肢を増やすことで、よりよいサービスを提供するのが目的だという。具体的な利用方法としては、動画クリエイターへの「投げ銭」、有料ライブストリーミングの視聴料、ライブコマース(生中継のネット動画による実演販売)の商品購入代金などの支払いを想定している。
ユーザーはまずアプリ上で本人確認を行い、銀行のキャッシュカードをひも付ければすぐに抖音支付を利用できる。そして利用開始後の2回目の支払いから、決済手段の選択肢のトップに抖音支付が表示されるようになる。
外部ECプラットフォームへのリンクを廃止
バイトダンスは昨年から抖音支付の導入を着々と準備してきた。2020年8月に他社の買収を通じてオンライン決済業務のライセンスを取得。同年11月から12月にかけて抖音支付の商標登録やドメイン取得を進めた。
客観的に見れば、抖音支付の狙いは、抖音という巨大プラットフォーム上で行われるトランザクション(商取引)をすべて自社サービスで完結できる「閉じた生態系」を構築することにある。
1月5日に発表された2020年版の「抖音データレポート」によれば、抖音の1日当たりアクティブユーザー数はすでに6億人を突破した。ライブコマースを通じた商品販売の総額であるGMV(流通総額)も急拡大しており、EC(電子商取引)業界の専門家によれば、抖音の2020年のGMVは1000億元(約1兆6000億円)を超えたという。
そんななか、抖音は2020年10月、アプリ上のライブコマースからアリババ傘下の「淘宝(タオバオ)」など外部のECプラットフォームの商品ページにユーザーを誘導するリンクを廃止。ライブコマースを行うネットショップに対して、抖音の自社ECプラットフォームの利用を促す姿勢を鮮明にしていた。
(財新記者:田宇辰、関聡)
※原文の配信は1月20日
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