中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は10月29日、2021年1~9月期の業績を発表した。第3四半期(7~9月期)のみの業績は開示していないが、過去の業績データから計算すると、7~9月期の売上高は1354億元(約2兆4034億円)と前年同期比37.7%も減少した。
なお、第1四半期(1~3月期)の売上高は前年同期比16.5%減の1522億元(約2兆7016億円)、第2四半期(7~9月期)は同38.1%減の1682億元(約2兆9856億円)であり、3四半期連続で大幅減収が続いている。
しかし注目すべきなのは、7~9月期の純利益が151億元(約2680億円)と、前年同期比26.5%の大幅増益を達成したことだ。今回発表した業績について、ファーウェイの輪番董事長(会長に相当)を務める郭平氏は次のように総括した。
「全体的には想定の範囲内だ。コンシューマー向け事業が大きな打撃を被ったものの、法人向け事業は安定的に推移した。ファーウェイは引き続き研究開発投資を増やし、優秀な人材を採用し、経営効率を高めていく」
ファーウェイの売り上げ激減の主因は、コンシューマー向け事業の中核だったスマートフォン事業の急激な縮小だ。アメリカ政府の制裁強化により、ファーウェイは2020年9月15日以降、スマホ用の最先端の半導体を調達するのが困難になった。その結果、かつては総売上高の半分前後を稼ぎ出していたスマホの販売が一気にしぼんでしまったのだ。
「最先端ではない部品で、最先端の製品を作る」
そんななか、ファーウェイは生き残りをかけた自己変革に全力を注いできた。その1つが、あえて最先端ではない部品を使い、最先端の製品を開発するというチャレンジだ。2021年8月、ファーウェイ創業者でCEO(最高経営者)の任正非氏は、「アメリカの制裁が2年にわたり続くなか、最高の部品を使って最高の製品を開発することにこだわらなくなった」と発言。さらにこう続けた。
「科学的かつ合理的な方法で機能のバランスを取り、リーズナブルな(品質の)部品を用いて高品質な製品を作り出せば、利益率を大幅に高めることができる」
その成果は、今回開示した業績に表れている。ファーウェイの1~9月期の売上高純利益率は10.2%と、前年同期の8.0%から2ポイント余り改善した。
次なる課題は、落ち込んだ売上高の反転上昇だ。ファーウェイは目下、法人向けの新規事業の開拓に邁進している。5G(第5世代移動通信)とAI(人工知能)を組み合わせた独自のソリューションをテコに、売り上げアップを目指している。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は10月29日
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