中国のスマートフォン・メーカー「栄耀(Honor)」の市場シェアが急回復している。同社のCEO(最高経営責任者)を務める趙明氏は9月22日、新型スマホ「Magic3」シリーズに搭載する画像処理技術の発表会で、中国国内でのスマホの市場シェアが16.2%に達したと述べた。これは過去最高記録だった16.7%に迫る水準だ。
栄耀は2020年11月まで、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)のサブブランドであり、中低価格帯のスマホを主力にしていた。しかしアメリカ政府の制裁の影響でファーウェイは半導体の調達が困難になり、栄耀の事業部門を社員丸ごと切り離す苦渋の決断を下した。
ファーウェイから独立した栄耀は、スマホの生産・販売に不可欠なサプライチェーンを再構築する必要に迫られた。この過渡期には、中国での市場シェアが一時3%まで下落した。しかし、その後は取引先との関係が徐々に安定。2021年6月と8月に新型スマホ2機種を発売すると、ユーザーの好評を得てシェアが急上昇した。
「来年の販売台数が大きく増えるのは間違いない」。9月22日の発表会の後、記者たちの取材に応じた趙氏はそう胸を張った。だが販売増加の度合いについては、具体的な見通しは示さなかった。
画像処理技術でハイエンド市場に照準
独立後の栄耀は、スマホのハイエンド市場への浸透を目標に掲げ、「(ユーザーから高い評価を得ていた)ファーウェイのハイエンド機種やアップルのiPhoneと肩を並べるスマホを作りたい」と公言している。8月に投入した前述のMagic3シリーズは、その第1弾である。
9月22日の発表会で、栄耀は新開発のコンピューテーショナルフォトグラフィー技術(訳注:コンピューターによる高度な画像処理を前提にした写真撮影技術)を披露した。この技術は遠隔アップグレードを通じてMagic3のユーザーに提供される。より鮮明な写真を(さまざまな条件下で、ユーザーの思いどおりに)撮影できる機能を高めることで、栄耀のハイエンド機種の競争力を強化するのが狙いだ。
趙氏によれば、新たなコンピューテーショナルフォトグラフィー技術はもともと次世代のMagicシリーズに搭載する予定だったが、開発が実用レベルに達したと判断し、前倒しでリリースしたという。「われわれの優れた製品、技術、革新性、使い心地などを、すべてのスマホユーザーに試してもらいたい」。趙氏はそう意気込みを語った。
(財新記者:何書静)
※原文の配信は9月23日
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