中国国有自動車大手の広州汽車集団の傘下企業で、新エネルギー車を専門に手がける広汽埃安新能源汽車(アイオン)は、7月27日、中国の通信機器最大手である華為技術(ファーウェイ)と共同で高級スマートEV(電気自動車)のブランドを作り上げ、3車種を発売すると発表した。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
これに先立つ7月10日にも、広州汽車集団は同社が開発する車台と、ファーウェイが開発するデータ処理・情報通信システムを組み合わせた新世代のスマートEV向けデジタルプラットフォームの構築について、ファーウェイと合意したと発表していた。このプラットフォームには、ファーウェイのスマートカー向けソリューションがフルセットで搭載される予定だ。
ファーウェイは自動車業界により深く溶け込むため、既存の自動車メーカーとの業務提携に注力している。同社のスマートカー向けソリューションには、データ処理・情報通信システムのほか、スマートコックピット、自動運転、ネットを介した(車外のサーバーやセンサーとの)データ連携、駆動モーターのスマート制御、車両向けクラウドサービスなどが含まれる。それらは各種の車載センサー、演算装置、アルゴリズムなどを組み合わせたハードウェアとソフトウェアの統合型ソリューションだ。
自動車業界のサプライチェーンの秩序に風穴を開ける
しかし自動車業界内には、ファーウェイとの業務提携に懸念を抱く向きも少なくない。国有自動車最大手の上海汽車集団の董事長(会長に相当)を務める陳虹氏は、6月30日に開催した株主総会で次のように述べた。
「自動運転技術に関して、わがグループは単一のサプライヤーが提供するソリューションを丸ごと採用することはしない。車の魂ともいえるコア技術を他社が担い、われわれは魂の入っていない車両だけを製造することになりかねないからだ」
スマートカーのコア技術について、広州汽車集団は自社開発とファーウェイとの提携を同時並行で進めると強調する。同社によれば、2023年頃までにスマートカー用ソフトウェアの自社開発能力を身に付けるとともに、データ処理用の半導体やレーザー光を用いた3次元センサー「LiDAR(ライダー)」などのハードウェアについては、外部企業との共同出資方式による開発を模索するという。
ファーウェイなどの巨大IT企業がスマートカーに参入する流れは、自動車業界が長年にわたり構築してきたサプライチェーンの秩序に風穴を開けつつある。古参の自動車メーカーは、スマートカーに必要とされる技術をすべて自社開発するか、新参のIT企業と提携するかの選択を迫られている。この問題について、広州汽車集団の総経理(社長に相当)を務める馮興亜氏は、「外部との提携に門戸を閉じ、何もかも自社開発するようなことはない」と言い切った。
(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は7月28日
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