中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は7月29日、スマートフォンの新機種「P50シリーズ」を発表した。同社はこれまで、毎年春と秋に2大フラッグシップの「Pシリーズ」と「Mateシリーズ」の最新型をお披露目してきた。しかしアメリカ政府による制裁の影響で、2021年春に予定していたP50シリーズの発表は延期され、しかも対応する通信規格が5G(第5世代移動通信)から4Gへのグレードダウンを余儀なくされた。
新機種は下位モデルのP50と上位モデルのP50 Proの2種類で、P50の希望小売価格は4488元(約7万5892円)からと、旧機種のP40と同水準に設定された。一方、P50 Proの希望小売価格は5988元(約10万1257円)からで、旧機種のP40 Proよりも200元(約3382円)高い。
なお、P50 Proは発売開始時点ではファーウェイの独自開発のSoC(訳注:システムオンチップの略称。CPUや通信モデムなどの基幹機能を1つのチップにまとめたもの)である「麒麟(Kirin)9000」の4G版を搭載する。しかし2021年12月以降は、SoCをアメリカの半導体設計大手のクアルコムが開発した「Snapdragon888」の4G版に切り替えるとしている。
アメリカ政府の制裁強化の影響で、ファーウェイは2020年9月15日以降は最先端の半導体の調達が困難になり、制裁発動の猶予期間中に備蓄したチップの在庫を使って限られた量のスマホを生産している。P50 Proが当初搭載する麒麟9000は、ファーウェイの独自SoCの最終世代である。
年内の出荷台数は500万台未満か
スマホ向けSoCを手がける半導体メーカーの中で、アメリカ政府からファーウェイ向けの輸出許可を取得できた企業は、現時点ではクアルコムしかない。また、供給できるSoCは4Gまでに限られているのが実態だ。
クアルコムのSnapdragon888は、同社が2020年12月に発表した最新鋭のスマホ向けSoCである。その5G版は、中国のスマホ大手の小米(シャオミ)、OPPO(オッポ)、vivo(ビーボ)などの最新機種への搭載がすでに決まっている。
調査会社のストラテジー・アナリティクスのアナリストである隋倩氏は、P50シリーズは発表時期の遅れに加えて4Gモデルであることを考慮すると、2021年の出荷台数は500万台に届かないと予想する。ちなみに歴代のPシリーズは、発表された当年の出荷台数が1000万台を下回ったことはこれまでなかった。
(財新記者:屈慧)
※原文の配信は7月29日
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