中国のパソコン大手の聯想集団(レノボ・グループ)が、上海証券取引所のハイテク企業向け新市場「科創板」に中国預託証券(CDR)の上場を申請した後、実質1営業日でそれを撤回した。同社の異例の動きは、市場関係者の間で憶測を呼んでいる。
レノボは国慶節(中国の建国記念日)の7連休前の最終営業日だった9月30日に、科創板への上場申請書を提出。最大で13億3800万単位のCDRを発行し、100億元(約1737億円)を調達するもくろみだった。ところが、連休明けの最初の営業日である10月8日に自ら申請を取り下げた。
申請撤回の理由について、レノボは明確な説明をしていない。同社はもともと香港証券取引所に上場しており、(連休中の)10月4日には香港の開示規定に基づいて科創板への上場目論見書を公表していた。つまり、撤回は10月4日以降に急遽決定された可能性が高い。
仮に今回の上場が実現していたら、レノボはレッドチップ(訳注:登記上の本社を中国本土の外に置き、香港証券取引所に上場している中国系銘柄の総称)がCDRの発行を通じて中国本土の証券市場に「里帰り」を果たす初のケースになるはずだった。
研究開発投資の少なさに批判の声も
CDRとは、中国本土の外で設立・登記され、同じく中国本土の外の証券市場に上場している企業が、その上場株を裏付けに発行する証券のことだ。中国本土の金融機関に管理事務を委託することで、中国本土の証券市場に上場させることができる。
この仕組みはレッドチップだけでなく、海外に登記されているすべての上場企業が利用できる。ちなみに、レノボは1993年に香港で設立・登記され、1994年2月に香港証券取引所に上場した。
中国証券監督管理委員会は2021年9月17日、レッドチップの中国本土への里帰り上場を促進する政策を発表。その2週間後、レノボはCDR発行数や資金調達額を含む科創板への上場計画を明らかにした。
しかし市場関係者からは、レノボに対して「科創板にはそぐわない」と批判する声も上がっていた。なぜなら、直近3年の会計年度にレノボが投じた研究開発費は、総売上高のわずか3%前後に過ぎないからだ。これは科創板の上場銘柄の平均値である10%前後に大きく見劣りする水準だ。
(財新記者:岳躍)
※原文の配信は10月9日
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