中国の新興カフェチェーン、瑞幸咖啡(ラッキン・コーヒー)は9月21日、アメリカの株主が同社に対して提起した集団訴訟について、原告側代表との和解の意向書に署名したと発表した。和解金の総額は1億8750万ドル(約205億円)。支払いの対象者は、ラッキンが上場した2019年5月から2020年7月15日までの間に同社の株式を購入し、損害賠償請求を行った投資家となる。
この発表と同時に、ラッキンは2020年の決算報告書を開示した。商品の割引を減らして販売単価を実質的に上げたことなどにより、売上高は40億3300万元(約682億円)と前年比33.3%増加。しかし最終損益は56億300万元(約948億円)の赤字で、損失額は前年より77.3%も増えた。
ラッキンが株主から集団訴訟を起こされたのは、2020年4月に発覚した深刻な不正会計が原因だ。アメリカのナスダックに上場していた同社は、創業からIPO(新規株式公開)までを中国企業の最速記録で実現し、コーヒー業界の「ユニコーン企業」として注目を集めた。しかし売り上げや経費の大幅な水増しが明るみに出て上場廃止となり、アメリカと中国の証券監督当局による調査と、株主からの一連の訴訟に直面している。
ケイマンとアメリカの裁判所の承認が必要
今回発表した集団訴訟の和解について、ラッキンは「わが社にとって最大の潜在的リスクと不確実性が払拭された」と主張している。
だが、和解の最終合意はまだこれからであり、英領ケイマン諸島およびアメリカの裁判所の承認も必要だ。ケイマンの裁判所は(登記上の本社をケイマンに置き、中国の事業会社を実質支配していた)法人の暫定清算手続きを、アメリカの裁判所は株主の集団訴訟をそれぞれ所管している。
なお、1億8750万ドルという和解金額は市場関係者の予想を下回るものだった。資本市場に詳しいアメリカの弁護士によれば、株主に対する損害賠償額には法律上の規定がなく、当事者間の交渉で決まる。現実には、損害額の算定の難しさや交渉期間の長期化、高額な訴訟費用などさまざまな要素を考慮し、落とし所を探らざるをえないという。
(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は9月22日
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