アメリカのアマゾン・ドット・コムは9月17日、同社の仮想商店街「マーケットプレイス」に出店していた中国の越境EC(国境を越えるネット通販)業者のアカウントを(アマゾン側の判断で)次々に閉鎖したことについて、初めて公式見解を発表した。
「直近5カ月で600のブランドと関連する3000のアカウントを凍結した」。アマゾンのアジア地区グローバル販売担当のバイスプレジデントを務める戴竫斐(シンディ・タイ)氏は、そう明らかにした。これらのアカウントは(マーケットプレイスの)規約違反の常習犯で、その中には中国の大手越境EC業者が多数含まれているという。
中国系業者のアカウント閉鎖は2021年5月上旬から始まり、ポータブルオーディオの帕拓遜(パートゾン)、スマートフォン周辺機器の傲基(オーキー)、家電ブランドを展開する沢宝(サンバレー)など、中国の華南地方を拠点にする大手越境EC業者が相次いで店じまいを迫られた。
その原因の大半は、「(発売直後にもかかわらず商品レビューが大量にあるなどの)コメント機能の不正利用」「虚偽のレビューを行うよう(何らかのインセンティブをつけて)ユーザーに依頼」「(商品購入者に)ギフトカードをプレゼントして(好意的な)レビューを書かせる操作」などの規約違反である。
戴氏の説明によれば、アマゾンがアカウント閉鎖に踏み切った越境EC業者は、上述の不正行為を繰り返していただけでなく、出店者情報の詐称、(偽レビューの投稿などを請け負う)グレーな業者との結託、違法商品の販売などにも手を染めていた。
「中国の業者を狙い撃ち」の疑いは否定
マーケットプレイスに出店する越境EC業者が、規約違反を理由に初めてアカウントを凍結された場合、アマゾン側はその業者に対して不服申し立ての機会を与える。そして、規約違反が故意ではなく一時的な手違いだったことを業者側が証明し、再発防止策を提出できた場合には、アマゾンはアカウントの再開を認める。
しかし、ある業者が規約違反を繰り返し、それが故意によるものだとアマゾン側が判断した場合、その業者のアカウントは閉鎖される。さらに、同一業者が(別ブランドなどで)保有する他のアカウントも閉鎖される可能性がある。
ここ数年、中国とアメリカの外交関係が悪化していることから、こうしたアマゾンの対応について「中国の業者を狙い撃ちしているのではないか」と疑う声が、中国の越境EC業界には少なくない。
これに対して戴氏は、「規約違反に対する対応は全世界共通だ。国別の規約違反の多寡についてはデータを把握していない」と説明。アマゾンが多数の中国系業者のアカウントを閉鎖した背景には、政治を含む外的な要素は一切影響していないと強調した。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は9月17日
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