中国浙江省寧波市にある韓国資本の造船所が突然閉鎖を発表し、補償などを求める数千人の従業員の抗議活動を招く事態になっている。この造船所は韓国の造船大手、サムスン重工業の全額出資子会社の「サムスン重工業寧波」だ。
同社は9月13日、全従業員に対して一方的に解雇を通告した。会社側の計画によれば、2021年末までに造船所を閉鎖して(敷地を地元政府に引き渡し)、26年間に及んだ寧波での生産に終止符を打つ。
これに対して、従業員側は強く反発している。財新記者がある従業員から提供を受けた動画には、造船所内に集まった数千人の従業員がシュプレヒコールを上げる様子が映っていた。彼らは韓国資本の撤退に抗議し、納得できる条件の補償を求めている。
1995年12月に設立されたサムスン重工業寧波は、地元の造船所のなかで最大級の規模を持つ。親会社のサムスン重工業が中国で初めて建設した造船所でもあり、最盛期には4800人余りが働いていた。
「造船所の閉鎖は必然」との見方も
「寧波の造船所では、当初は(船体を複数のブロックに分けて同時に製造する方式の)船体ブロックだけを製造していた。必要な原材料はすべて韓国から輸入し、寧波で船体ブロックに組み上げて韓国に再輸出した後、本社の造船所で船体を完成させていた」。財新記者の取材に応じたサムスン重工業寧波の元管理職はそう語り、このビジネスモデルが今回の撤退の遠因になったとの見方を示した。
「その後の中国経済の発展とともに、当初のビジネスモデルを維持するのは難しくなった。地元政府が一定比率の原材料を中国国内で調達することや、(船体ブロックだけでなく)完全な船体の製造も行うことを求めてきたからだ」
だが、サムスン重工業寧波は経営環境の変化に柔軟に対応できなかった。韓国政府は自国の技術を保護するため、(付加価値が高い)液化ガス運搬船を中国で製造するのを認めていない。このため、寧波で製造できるのは(利益率が低い)従来型の船舶だけだった。前出の元管理職によれば、「会社の収益力は低迷し、造船所の閉鎖は必然だった」という。
(財新記者:賈天瓊)
※原文の配信は9月14日
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