アメリカの小売り大手のウォルマートは8月17日、2021年5~7月期の決算を発表した(訳注:同社の会計年度は2月から翌年1月まで)。そのなかで、同社の中国事業の売上高は前年同期比6%の増加にとどまった。会員制量販店のサムズクラブの売上高は2桁成長を記録し、会員登録数は前年同期の2倍以上に増えたにもかかわらず、従来型の大型スーパーの来店客減少(による売り上げダウン)に相殺された格好だ。
なお、ウォルマートの中国事業の粗利益率は2020年2~4月期から一貫して下がり続けている。サムズクラブはもともと粗利益が小さいことに加え、大型スーパーでも商品の計画以上の値下げを迫られているためだ。
中国のチェーンストアの業界団体がまとめた報告書によれば、ウォルマートの2020年の中国売上高は前年比6.2%増の874億100万元(約1兆4745億円)。中国の大手スーパーチェーンのなかでは、電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)傘下の「大潤発」、ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が出資する「永輝超市」、政府系コングロマリットの華潤創業傘下の「華潤万家」に続く第4位につけている。しかし同年の店舗数は429店と、前年より2.9%減少した。
2021年に入ってからも、ウォルマートは中国で複数の店舗を閉鎖した。例えば8月10日には北京市の朝陽店が撤退。これにより、北京市内のウォルマートは10店舗に減り、うち7店が大型スーパー、3店がサムズクラブとなった。その後も重慶市などで店舗閉鎖が噂されている。
中国以外でもサムズクラブは好調
ウォルマートは中国で大型スーパーの閉鎖を加速すると同時に、大都市圏でサムズクラブの出店を増やしている。中国のサムズクラブの店舗数はすでに30店を超えた。ウォルマートの中国事業のCEO(最高経営責任者)を務める朱曉静氏は2021年7月、大都市圏の大型スーパーのうち条件の合う店舗をサムズクラブに改装し、その1号店を早ければ2022年初めに開店させると明らかにしている。
なお、ウォルマートの5~7月期のグローバル売上高は前年同期比2.4%増の1410億4800万ドル(約15兆4320億円)、純利益は同34%減の42億7600万ドル(約4678億円)だった。そのうち、サムズクラブの売上高は前年同期比13.9%増と、ウォルマート全体の成長率を大きく上回った。サムズクラブは既存店の売上高が同7.7%増、会員費の収入が同12.2%増と中国以外でも好調だ。
(財新記者:何昕曄、沈欣悦)
※原文の配信は8月18日
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