4月23日、中国の電子商取引(EC)大手の蘇寧易購は2020年の通期決算を発表した。純損益は前年の98億4300万元(約1634億円)の黒字から42億7500万元(約710億円)の赤字に転落し、蘇寧易購にとっては上場以来、初めての通年赤字となった。
また、2020年の売上高は前年比6.29%減の2522億9600万元(約4兆1900億円)で、純利益から特別損益を除いた本業での損失も68億700万元(約1130億円)となり、これも上場以来最大の赤字であった。
これまで、蘇寧易購は、特別損益を除いた本業での損益は6年連続の赤字計上となっており、資産売却により何とか帳簿上の黒字を維持していた。
アリババの株も3度にわたり売却
2017年から2018年にかけて、蘇寧易購は所有していた中国ECの最大手である阿里巴巴集団(アリババ)の株式を3度にわたり売却し、2017年に33億元(約548億円)、2018年に110億元(約1827億円)の売却益をそれぞれ計上した。
2019年には、多額の赤字を抱えたコンビニエンスストア事業を切り離すことで、蘇寧易購に35億元(約581億円)以上の純利益をもたらした。また同年、傘下の金融事業会社である蘇寧金服の第三者割当増資は、99億元(約1644億円)近くの純利益かさ上げに貢献した。
しかし、このような切り売りモデルの継続はもはや難しくなっている。過年度の決算報告によると、蘇寧易購は2018年に136億8700万元(約2273億円)、2019年に155億5400万元(約2583億円)の特別利益を計上することで赤字を回避していたが、2020年は特別利益も25億3200万元(約421億円)へと大幅に減少している。
さらに昨年発表された監査報告書は、同社の事業継続に不確実性が存在していることを示している。 2020年の蘇寧易購の営業キャッシュフローは16億2200万元(約269億円)のマイナスで、4年連続でマイナスとなった。
2015年から2019年まで、蘇寧グループは、スーパーマーケット、デパート、スポーツ、エンターテインメントなどさまざまな事業や資産の買収を頻繁に行ってきた。グループの主力上場企業である蘇寧易購だけでも、700億元(約1兆1627億円)を超える投資が開示されている。一方、蘇寧易購の小売事業はまったく収益性がなく、既存債務の返済時期の到来により、蘇寧グループ全体を債務危機に陥れている。
(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は4月24日
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