中国の電子商取引(EC)大手の蘇寧易購は12月9日、同社が発行した「18蘇寧01」など7本の社債を対象に、自己資金20億元(約319億円)を投じて買い戻しを実施すると発表した。
蘇寧易購は家電販売チェーン大手の蘇寧電器を出自とするECプラットフォームで、中国最大手の阿里巴巴(アリババ)、2位の京東(JDドットコム)、3位の拼多多(ピンドゥオドゥオ)に次ぐ業界4位。今回の社債買い戻しについて同社は、「投資家の信用を高め、社債価格の安定を維持し、会社の長期的かつ安定した発展を図る」ことが目的だと説明した。
事の始まりは12月8日、債券市場を駆け巡ったある噂だった。「蘇寧易購が資金ショートに陥り、銀行からの借入金を返済できなくなっている」というもので、蘇寧易購はSNSの公式アカウントを通じて即座に否定。また、この噂が同社の正常な経営とブランドの信用を傷つけたとして関係当局に通報した。
しかし市場の疑心暗鬼は払拭できなかった。翌12月9日、深圳証券取引所に上場する蘇寧易購の株価は前日より4%安い8.65元(138円)で取引を終え、過去半年間の最安値を更新した。債券市場でも同社の社債が売られ、うち3本の取引価格は1日で3%以上も下落した。
債券市場の動揺で投資家の不安再燃
蘇寧易購は最近の経営状況(の悪化)が債務返済能力への不安を呼び、償還期限を1年以内に迎える社債の価格が今年10月から下落していた。そんななか、同社は11月12日に10億元(約159億円)の自己資金を投じて社債の買い戻しを実施すると発表し、市場の不安を和らげようとした。
だが、その後に他社の社債のデフォルトが相次いだため債券市場が動揺し、蘇寧易購の社債に対する不安が再燃。同社は今回の2度目の買い戻しを余儀なくされた。2回の買い戻しに投じる総額30億元(約478億円)は、償還期限を1年以内に迎える社債の残高の46%に相当する。
蘇寧グループの持ち株会社の傘下で社債の発行主体を担うのは、蘇寧電器とその上場関連会社である蘇寧易購だ。財新記者の調べによれば、発行済みの社債の残高は蘇寧電器が400億元(約6376億円)を超えており、蘇寧易購も124億元(約1977億円)に上る。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は12月10日
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