中国の石油化学業界で、エチレンの生産能力を増強する動きが相次いでいる。
国有石油大手の中国石油化工集団(シノペック)は12月4日、天津市の天津南港に年間生産能力120万トンのエチレン製造プラントおよびエチレンを原料とする石油化学製品の工場群を建設する計画を発表した。総投資額は約288億元(約4594億円)に上る。
これはシノペックの数ある増産プロジェクトの1つにすぎない。同社は今年7月、同じく天津市でサウジアラビアの石油化学大手、サウジ基礎産業公社(SABIC)との合弁会社のエチレン生産能力を年産130万トンに拡大する工事に着手。そのほかにも海南省、広東省、浙江省などのプラントで年産80~120万トンへの設備増強を進めている。
シノペックだけではない。コンサルティング会社の卓創資訊のデータによれば、中国の石油化学業界には2020~2024年の間にエチレン製造プラントの増設を計画している企業が少なくとも43社ある。その結果、中国のエチレン生産能力は2025年末までに現在の2倍を超える年産7000万トン以上に達する可能性があるという。
国内自給率は48%から5年で70%超に
エチレンは石油化学工業における最も基本的な原料の1つだ。エチレンから生成される石油化学製品にはポリエチレン、ポリ塩化ビニル、スチレン、エチレングリコール、酸化エチレン、酢酸ビニルなどがある。
中国は2019年に5436万トンのエチレンを消費したが、同年の国内生産量は2628万トンだった。自給率は48%にすぎず、対外依存度が比較的高いといえる。
石油化学業界がプラント増設に邁進しているのはそのためだ。信達証券の調査レポートは、中国のエチレン自給率が2025年には70%を超えると予想している。
だが、基礎原料の急激な増産は石油化学製品の市場の需給バランスを崩しかねない。業界団体の中国石油化学工業連合会の副会長を務める傅向升氏は最近、エチレンとポリエチレンを除くパラキシレン、エチレングリコール、ポリエチレンテレフタレートなどの石油化学製品の多くが、2025年末までに供給過剰になるとの見方を示した。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は12月6日
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