中国の電子商取引最大手の阿里巴巴集団(アリババ)は2月5日、総額50億ドル(約5265億円)に上る無担保優先社債の発行を発表した(訳注:発行日は2月9日)。同社による社債発行は2017年以来、4年ぶりだ。
額面金額よりも低い価格で売り出す割引債を4種類発行する。1種目は額面の総額が15億ドル(約1580億円)、償還期限10年、年率金利2.125%。2種目は総額10億ドル(約1053億円)、償還期限20年、年率金利2.7%。3種目は総額15億ドル、償還期限30年、年率金利3.15%。4種目は総額10億ドル、償還期限40年、年率金利3.25%となっている。
社債発行で調達した資金は、事業の運転資金、海外債務の返済、既存事業との相乗効果があるM&A(合併・買収)などの一般用途に充てる。
なお、2種目の10億ドルの社債に関しては、環境配慮型の建築、エネルギー効率の改善、新型コロナウイルスの危機対応、再生可能エネルギー、循環型経済など、事業の持続可能性を高める分野に集中投資する計画だ。
アントの上場延期や独禁法調査が影響か
アリババは2月2日に2020年10~12月期の決算を発表。今回の社債発行は、そのわずか3日後にアナウンスされた。
決算報告書によれば、同社の2020年12月末時点の流動資産は5977億2600万元(約9兆7310億円)、そのうち現金及び現金同等物が3121億3700万元(約5兆816億円)に上る。一方、流動負債は2418億7200万元(約3兆9377億円)であり、資産負債率は33.8%。債務の返済能力や資金の流動性はいずれも健全な水準だ。
そんななか4年ぶりの社債発行に踏み切ったのは、アリババを取り巻く経営環境の急変が影響しているとの見方がある。
同社傘下のフィンテック大手の螞蟻集団(アント・グループ)は、2020年11月に予定していたIPO(新規株式公開)が中国の金融当局の監督強化を受けて延期に追い込まれた。さらに2020年12月下旬、独占禁止法の執行機関である国家市場監督管理総局がアリババに対する調査を開始した。
こうした動きが投資家の不安を呼び、株価が急落。対策を迫られたアリババは2020年12月28日、2年前に発表した総額60億ドル(約6318億円)の自社株買い計画を100億ドル(約1兆530億円)規模に引き上げると発表し、そのための原資は手元資金で賄うとしていた。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は2月5日
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