都市部の食卓に上る果物は流通過程での損耗が大きい。一説によれば、産地で収穫された果物のうち消費者の口に入るのは3分の1だけで、3分の1は選別ではねられ、3分の1は(売れ残るなどして)廃棄されるという。
そんななか、中国の電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)が、デジタル化による果物の流通革命に乗り出した。産地の近くに大型の物流倉庫を建設し、選別作業などを効率化して損耗を減らすもくろみだ。
「2020年は中国国内に5カ所の物流倉庫を建設した。2021年も3~5カ所を建設する計画だ」。アリババのデジタル農業事業部のトップを務める李少華氏は、2020年12月18日に開かれた農業デジタル化のフォーラムでそう明らかにした。
李氏によれば、建設した5カ所の物流倉庫の所在地は雲南省昆明市、広西チワン族自治区南寧市、陝西省西安市、山東省淄博市、四川省成都市。今後さらに新疆ウイグル自治区、河北省、東北3省(遼寧省、吉林省、黒竜江省)での建設を目指しているという。
農産物の直接買い付けを10倍に拡大
例えば、昆明市のアリババの物流倉庫は総面積1万500平方メートルの広さを持ち、(デジタル技術を駆使した)自動選別装置の導入で1日100トンの果物を選別できる。雲南省各地で収穫された新鮮な果物を外観、重量、糖度などによってきめ細かく選別することで付加価値を高め、素早く箱詰めして全国各地に出荷している。
「流れ作業方式による選別の大規模化と標準化で、サプライチェーンの効率を高められる。流通過程での損耗を減らし、(所得水準が低い)農家の収入アップを図りたい」(李氏)
アリババは2020年に傘下のECプラットフォームを通じて総額20億~30億元(約316億~474億円)の農産物を産地から直接買い付けた。李氏によれば、今後これを10倍の年間200億~300億元(約3160億~4740億円)に拡大する計画だ。
(財新記者:黄姝倫)
※原文の配信は2020年12月22日
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