中国の債券市場に初の「カーボンニュートラル債」がデビューした(訳注:カーボンニュートラルは温室効果ガスの排出量と吸収量が差し引きゼロになる状態を意味する)。
銀行間債券市場の自主規制機関である中国銀行間市場交易商協会の発表によれば、中国南方電網、中国長江三峡集団、華能国際電力、国家電力投資集団、雅礱江流域水電開発の電力大手5社と空港運営会社の四川省機場集団の合計6社が募集していた総額64億元(約1045億円)のカーボンニュートラル債の発行が、2月9日に完了した。
今回の募集を通じて調達された資金は、いずれも建設期間が2年以上の中長期プロジェクトに投資される。そのすべてが二酸化炭素(CO2)の排出削減を主眼とするものであり、4件の風力発電、4件の水力発電、2件の太陽光発電、1件のグリーン建築のプロジェクトが対象に含まれている。
カーボンニュートラル債は、環境改善事業の資金調達を目的にする「グリーンボンド」の一種であり、募集資金の用途をCO2排出の削減効果があるプロジェクトに絞り込んでいるのが特徴だ。CO2削減の目標や達成度などの情報をきちんと投資家に開示する必要があり、投資効果について「計算できる」「調べられる」「検証できる」ことが求められる。
CO2削減効果を半年毎に投資家に開示
中国初のカーボンニュートラル債にも、その仕組みが導入された。投資先のプロジェクトについて、第三者の専門機関がCO2削減を含む環境効果を定量的に測定し、アセスメント・レポートを作成する。そして、債券の償還期間中は半年毎にCO2削減効果の関連情報を開示し、資金利用の透明性を高めるとしている。
中国銀行間市場交易商協会によれば、カーボンニュートラル債の発行には次のような利点がある。グリーン経済の発展を金融面から支援し、低炭素型の産業構造、エネルギー構造への転換を促進できる。また、企業がCO2削減プロジェクトに取り組むための資金調達ニーズに応えることで、CSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)に対する企業の認識を高めることができる。
カーボンニュートラル債には、中国の国家目標達成に向けた施策の一環という側面もある。中国の習近平国家主席は2020年9月22日、国連総会でのビデオ演説で「CO2の排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現する」と表明した。
(財新記者:梁虹)
※原文の配信は2月9日
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