中国の中堅自動車メーカーの吉利汽車(ジーリー)とドイツの同業大手のダイムラーは、11月20日、次世代ハイブリッド車(HV)のパワートレーン技術で提携すると発表した。HV向けガソリンエンジンの研究開発、部品調達、量産化などを両社が共同で進める。
ダイムラーは高級乗用車のメルセデス・ベンツの親会社だ。共同開発する新型エンジンの生産は欧州と中国の工場で行い、メルセデス・ベンツが中国の合弁会社で現地生産する乗用車に搭載する可能性がある。また、吉利汽車が2010年に買収したスウェーデンのボルボ・カーも、このエンジンを採用する計画だ。
HVはクルマの動力が内燃機関から電気モーターに移行するなかでの過渡的技術とされ、日本のトヨタやホンダが技術開発で先行している。
なお、中国政府が定義する「新エネルギー車」の対象はプラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)の3種類に限られ、HVは含まれていない(訳注:中国政府はHVを新エネルギー車とは別の「低燃費車」と位置づけ、普及を後押ししている)。
当面はHVが総合的に優位と判断
吉利汽車とダイムラーの関係は2018年2月、吉利汽車がダイムラーの発行済み株式の9.69%を取得して筆頭株主となったのを機に始まった。両社はその後、事業面での提携拡大の機会を相互に模索してきた。
ダイムラーは、乗用車の温暖化ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を2039年に実現することを目指している。そのため、2030年までに世界販売に占めるHVとEVの比率を50%以上に高める計画だ。今回の吉利との提携により、研究開発費の負担軽減や生産規模拡大によるコストダウンが期待できる。
一方、吉利はHVとEVの技術開発を同時並行で進める戦略をとっている。新エネルギー車に関する中国政府の政策は長期的にはEVやFCVの普及を重視しているが、まだ当面の期間、HVのほうが排ガス規制への対応やコスト効率などで総合的に優位と見ているためだ。
中国の習近平国家主席は今年9月、国全体の二酸化炭素(CO2)の排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現する目標を打ち出した。
これを受けて中国工業情報化省が10月に発表したロードマップでは、2035年に新車販売の半分を新エネルギー車が、残り半分をHVが占めると予想している。
(財新記者:劉雨錕)
※原文の配信は11月21日
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