中国のEV(電気自動車)大手の比亜迪(BYD)は4月3日、同社が3月をもってエンジン車の生産を終了したと発表した。今後はEVとプラグインハイブリッド車(PHV)に経営資源を集中する。
これまでエンジン車を生産・販売してきた自動車メーカーのなかで、BYDはその終了に踏み切った世界初のケースとなった。なお、同社はエンジン車の部品の生産は継続し、既存顧客へのアフターサービスを続ける。
BYDはもともと、携帯電話などの電子機器向け電池メーカーとして1995年に創業した。同社はEVの将来性に注目し、2003年に陝西省の秦川汽車を買収して自動車に参入。価格性能比の高いクルマ作りが支持され、中国の自動車市場で一定のポジションを確立した。
参入当初はエンジン車しか生産していなかったが、2008年に初のPHVを、2010年にはEVを投入して普及拡大を目指した。だが、当時はまだ電池の性能やコストと顧客ニーズの乖離が大きく、充電インフラも整備されていなかったため、販売低迷が長く続いた。
新エネルギー車の販売が60万台突破
転機が訪れたのは2014年、中国政府が「新エネルギー車」の普及を促進するため、一連の優遇政策を打ち出したことだった。BYDはこの好機をつかみ、新エネルギー車の投入を加速。2014年に1万8500台だった販売台数を、2021年には60万3800台と7年間で30倍以上に増加させた。
(訳注:「新エネルギー車」は中国独自の定義で、EV、PHV、燃料電池車[FCV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
一方、それに伴ってBYDのエンジン車の販売は減少。2021年の販売台数は前年の半分以下の13万6300台にとどまり、総販売台数に占める比率は2割未満に縮小していた。
自動車業界のある専門家は、今回のBYDの決断についてこう評した。
「BYDは新エネルギー車の技術を独自に磨き、(性能や価格の面で)エンジン車を代替できる水準に高めた。エンジン車の生産終了は『機が熟した』ということだ」
(財新記者:黄栄)
※原文の配信は4月4日
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