中国の新築マンション販売の低迷が長引いている。市場調査会社の克而瑞が発表したデータによれば、不動産業界の大手50社による2022年1~3月期の総販売額は約1兆6300億元(約31兆7237億円)と、前年同期比47.1%の大幅な落ち込みを記録した。
また、財新記者の調べによれば、上位10社の最大手のうち9社の販売額の減少率が30%を超えた。なかでも中国海外発展と万科企業の2社の落ち込みが目立ち、前者の減少率は前年同期比45.5%、後者は同40.0%だった。
「自分の担当案件では1~3月期の販売目標は2億5000万元(約49億円)だったが、実際に売れたのは1億5000万元(約29億円)程度だった」。ある国有大手不動産会社のセールス担当者はそう打ち明ける。
これ以外にも、財新記者の取材に応じた複数のセールス担当者が、1~3月期の販売目標に対する達成率が60%前後にとどまったと証言した。
消費者に広がる先行き悲観
例年なら、3月から4月にかけては不動産業界で「春の訪れ」と呼ばれる繁忙期だ。しかし2022年は新型コロナウイルスの局地的流行が中国各地で相次ぎ、新築マンションのショールームの集客が大きな影響を受けている。
例えば3月14日から7日間のロックダウン(都市封鎖)が実施された広東省深圳市では、新築マンションの現地ショールームが一時閉鎖されただけでなく、建物の建設工事もすべて中断された。
とはいえ、マンション販売の低迷は新型コロナのせいだけではなさそうだ。「より根本的な理由は、将来に対する消費者の心理が変化したことだ。住宅購入希望者の間で、景気の行方や今後の収入、仕事の先行きなどを悲観する声が増えている」。ある国有中堅不動産会社のセールス担当者はそう話す。
財新記者の取材に応じた住宅購入希望者の1人は、自身の心境の変化を次のように語った。
「以前は(不動産会社が建設した)分譲マンションを買いたかったが、最近、景気が明らかに悪化してきたと感じる。今後も安定して得られる収入や月々の支払い能力を考えて、やはり(中低所得者向けの)公共住宅に申し込むつもりだ」
(財新記者:陳博)
※原文の配信は4月8日
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