中国の不動産市場では、2021年後半からマンションの買い控えが急速に拡大。不動産デベロッパーの資金繰りが悪化し、一部の不動産会社が借り入れの返済や金利の支払いに行き詰まるケースが相次いだ。相対的に体力のある大手不動産会社も、続々と業績予想を下方修正している。
金融情報サービスのWind(ウインド)のデータによれば、中国の上場不動産会社のうち66社が、2022年1月29日までに2021年の通期業績見通しを発表した。その5割弱に当たる30社が、通期純損益の赤字を予告している。例えば、2021年10〜12月期に資金ショートのリスクが報じられた大手デベロッパーの陽光城集団は、2021年の純損失が45億~58億元(約815億~1050億円)に上るとの見通しを開示した。
一方、残り36社は最終黒字を見込んでいるものの、半分の18社が減益を予想している。例えば広東省深圳市に本社を置く華僑城は、2021年の純利益が前年比7割近く減少し、31億8800万~41億3200万元(約577億~748億円)にとどまると予想する。
業界特有の商慣行の影響も
不動産会社の決算が赤字や大幅減益に陥った裏には、市況の悪化に加えて、業界に特有の商慣行の影響もある。
前出の陽光城を例に取ると、同社は経営危機の表面化で顧客からの信用が傷つき、マンション販売に大きな影響が出ている。このため、陽光城は2022年の販売戸数や成約価格を保守的に見積もり、2021年の決算に在庫資産の評価額の減損引当金を計上する。
ここで留意すべきなのが、不動産業界では建物の完成前に物件を販売するのが一般的であることだ。不動産会社は成約時に顧客から物件の代金を受け取るが、その時点では(売り上げではなく)「前受金」であり、完成した物件を引き渡した後に初めて「売上高」に算入される。
不動産会社の前受金が売上高に転じるまでのタイムラグは、平均2~3年とされている。決算の会計処理上は、前受金は貸借対照表の「負債」の項目に計上され、(損益計算書の)当期利益には影響しない。
一方、在庫資産の減損引当金は損益計算書の当期損失に(直ちに)計上される。こうした事情により、不動産会社の2021年の損失額は実態以上に大きく見える側面がある。
(財新記者:陳博)
※原文の配信は1月30日
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